「中日2−2阪神」(12日、バンテリンドーム)

 阪神は今季初の引き分け。デイリースポーツ評論家の岡義朗氏は「いい面と悪い面が出た」と今後をにらむ。

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 阪神はいい面と悪い面が出た。

 まずはいい面。打線が本調子でない中で、足を絡めて得点を奪ったところに価値がある。2点を追った八回1死一、二塁からの代打・ノイジーの左飛。一、二塁間の中間にいた木浪が、二塁走者の糸原がタッチアップの態勢を取ったことで自分も一塁に戻り、二塁に進む形を整え、左翼・尾田が三塁に送球をつないだのを見ながら二塁を陥れた。タッチアップといういい選択、二塁を奪ったいい判断が、同点につながった。

 また、二塁に進んだ場面で代走に送り込まれた小幡も、全力疾走で同点のホームを陥れた。これは近本の二塁への打球に対してスピードを一切緩めることなく三塁に進んできた小幡の姿勢、また、その速度を見極めて本塁に突入させた藤本三塁コーチの抜群の判断だった。

 悪い面は延長十一回に中田の三塁線への打球を好捕しながら、一塁に悪送球した佐藤輝と、ショートバウンドを後ろにそらした一塁の小野寺。佐藤輝は中田の走力を考えれば全く慌てる必要がなかった。小野寺もベースから離れて捕球に動いた時点で、後ろにそらすことだけは避けなければいけなかった。幸い、加治屋の奮闘で決勝点にはつながらなかったが、今後につなげてもらいたいプレーだった。