金(ゴールド)価格の上昇が止まらない。金の販売価格の代表的な指標である田中貴金属工業の小売価格は4月17日、1グラムあたり1万3099円まであがり、過去最高値をつけた。2023年8月に初めて1万円を突破。2023年12月末の1万475円からは25%の上昇だ。

「金投資」と聞くとまずイメージするのが、金の延べ棒(ゴールドバー)ではないだろうか。ところがもっと手軽に投資できる方法がある。新NISAを使えば税効果の恩恵を受けながら投資ができる(本稿で取り上げた商品は、一定の条件にあったものを紹介したもので、推奨する意図はありません)。

■新NISAで金に投資をする3つの方法

金に投資する方法は大きく次の2つだ。

・「現物」ゴールドバーや金貨、宝飾品などへの投資
・「有価証券」金価格に連動する投資信託やETF(上場投資信託)

2つのうち、新NISAを利用して金に投資ができるのは有価証券への投資だ。具体的に3分類の商品をここでは紹介する。

●1 投資信託 NISAなら「成長投資枠」で

新NISAには「つみたて投資枠」(年120万円)と「成長投資枠」(年240万円)の投資枠が存在しており、金を対象とするファンドに投資できるのは成長枠投資のみ。単発購入だけでなく、継続的に投資できる。

基本的には、長期投資で投信を買う場合、購入時の手数料や信託報酬が低いファンドを選びたい。また純資産総額が極端に低いと繰上償還で投資できなくなるリスクもある。ここでは純資産額が50億円以上ある商品を紹介する。

・ ピクテ・ゴールド
純資産総額:ヘッジなし832億円、ヘッジあり877億円
コスト:(購入時)2.2%、(信託報酬)0.879%

・ ブラックロック・ゴールド・ファンド
純資産総額:ヘッジなし 155億円
コスト:(購入時)3.3%、(信託報酬)2.2%

・ 三菱UFJ 純金ファンド
純資産総額 2,116億円
コスト(購入時)1.1%、(信託報酬)0.99%

・ iシェアーズ(ブラックロック) ゴールドインデックス・ファンド
純資産総額 ヘッジなし:197億円
コスト(購入時)0%、(信託報酬)0.5085%

●2 上場投資信託(ETF) 投信よりは種類が少なめ

金は、投資信託と同じく成長投資枠でETFを通じて投資できる。

ETFと投資信託のもっとも大きな違いは上場しているか否か。ETFは取引価格が市場価格で決まり(投資信託は1日1回算出される基準価格)、リアルタイムで売買したいときに取引ができる点がメリットだ。

ただし、投資できる種類は投資信託のほうが多い。売買しやすいETFのメリットを活かすためには、時価総額や出来高が多い銘柄を選んだほうがよさそうだ。ここでは時価総額1000億円以上ある商品を紹介する。

金に関連したETFは以下の5銘柄だ(データは4月19日時点)。

・ SPDRゴールド・シェア <1326>
世界最大級のゴールドETFであるSPDRゴールドシェアに連動、円換算
1口単位:価格3万4,040円
時価総額:9兆7800億円
平均出来高(直近90日)9,364口

・ 純金上場信託(愛称:金の果実) <1540>
商品取引所の金先物価格から評価した金の理論価格 一定口数があれば金の現物に代えられる
1口単位:価格1万1,190円
時価総額:3,781億円
平均売買高(直近90日):22万8,800口

●3 産金株 株式投資としてのメリットも

金が上がったら連動することが多い銘柄として「産金株(金の鉱山の権利を持っている会社の株式)」投資がある。株式投資としてのメリットもありながら、金価格上昇のメリットもとれる可能性があるので検討してみる価値はありそうだ。

国内では、住友金属鉱山 <5713> 、三菱マテリアル <5711> 。海外株では、米ニューモント、カナダのバリック・ゴールド 、南アフリカのアングロゴールド・アシャンティなどが代表的だ。

■金は今後も上昇するのか?

インフレ動向や有事を予想することは難しい。金価格がさらに上がるという見方もさすがに落ち着くという見方もある。

金が買われる大きな理由の1つがインフレだ。インフレ時には、お金の価値が下がる。逆に、資源や貴金属、不動産などの現物資産の価値が上がる。世界的にもゴールドは最高値圏にある。

2つめが円安だ。金は世界的にドル建てで取引されている。円安になると金の国内の価格を押し上げる。

3つめが中東情勢の緊迫だ。戦争などの有事には安全資産の金を買う動きが広がる。コロナ時も金は買われた。

重要なのは、金は株や債券といった伝統的な金融資産とは違う動きをすることが多いことである。長期運用におけるリスク分散効果が高い資産である。運用資産の一部を金投資に向けることには意味がありそうだ。

文/編集・dメニューマネー編集部