テレビ朝日 人事部 小宮立千(こみや・たつゆき)さん

 新卒向け就活・就職サイト「あさがくナビ」が4月に開催する大型のイベント「キャリアデザインフォーラム」に参加する人気企業3社に、会社の魅力や採用にかける思い、学生へのメッセージを聞くインタビュー。3社目は、2年連続で世帯視聴率3冠(全日・ゴールデン・プライム<ビデオリサーチ調べ、関東地区>)を達成したテレビ朝日が登場する。ネットも積極的に活用し好調な同社が欲しい人材は「チャレンジできる人」。採用に際しての考え方や方法、学生へのメッセージを聞いた。(あさがくナビ編集部・福井洋平)

――2024年卒の入社状況を教えてください。

人事部 小宮立千(こみや・たつゆき)さん アナウンサー2人を含めて27人が入社しました。テレビ番組をはじめとしたコンテンツを制作し、それをビジネスに展開していく「コンテンツ制作・ビジネス」部門が19人、テレビ局の仕事を技術面から支える「テクノロジー」部門が6人です。例年、だいたいこのような比率で採用しています。

――2026年卒採用のスケジュールを教えてください。

 最初はアナウンサー希望者を対象にした「アナトーーク!」というスタジオでのアナウンサー体験プログラムが大学3年の4〜5月にあります。そのあと7月にビズリーチの主催で弊社をはじめ在京キー局5局の人事職員が登壇する「キー局ライブ」というオンラインの合同説明会があり、これはかなり視聴数が多いです。そのあと7月末からいわゆるインターンシップ(厳密にはオープン・カンパニー)の募集が始まり、8月末から9月に実施するという流れになります。本選考のスケジュールは秋から更新していきますので、弊社採用HPをご確認ください。アナウンサー部門以外では例年ESと、30秒の自己紹介動画を出してもらっています。

――ESではどのようなところを見ますか。

 何かに熱量を注げるということが、この仕事では一番大事だと思います。一人ひとり、つくり手の思いが強く込められたものはちゃんと人に伝わるので、そこをしっかり考えて過ごしてきたかをみなさんの経験から見ていきます。

 また、仕事をしていくと、必ず壁にぶつかると思います。テレビ業界は社会的にも注目度が高い仕事なので、多くの人に見られ、様々な意見や考えの中で判断する必要があり、そこを乗り越えていける力強さがあるかも見ています。

――動画では、どのようなところをチェックしますか。

 テレビはわずかな時間で伝えなければいけないので第一印象をチェックします。奇抜なことをする人もまじめな内容をやる人も様々ですが、根本は、「短い時間でわかりやすく人に伝える」ことが大切。そこができているかを、動画で見させてもらっています。

――面接ではどのようなところを見ますか。

 面接官によっても違いますが、「伝えたい」「何かをやりたい」という熱量が大事ですので、「やる気がある」「元気がある」といったところもひとつの武器になると考えてチェックしています。それに加えてテレビ局員は多くの職種、業界の人と関わる仕事でもあるので、周りの人に気遣いができるかどうかという人間性も見させてもらっています。

 それぞれの面接フェーズによって見るポイントは変えていますが、全体を通してテレビ局員として働いていると起こりうるシチュエーションに対応できるか、ということを意識して面接しています。

――どういう人に入社してほしいですか。

 基本的には、「チャレンジができる人」とお伝えしています。

 テレビ朝日はまだ、視聴率でも売り上げの面でも在京キー局5局の中で総合1位を取ったことがありません。しかし、視聴率では2年連続、個人全体で2冠を獲得し、ビジネスについては「テレビ朝日360°」をかかげて多角的な展開を仕掛けています。チャレンジをしていかなければ1位を取れないので、ほかの局がやる以上の新規分野に手を出しているのがテレビ朝日です。チャレンジや変化を恐れず、何か新しいことに挑み続ける意識を強く持っている学生に来てほしいです。

――テレビの人気は下がっていますか?

 確かに学生の生活スタイルはすごく変わったと思います。テレビは良くも悪くも注目される業界なので、テレビの力を見切ってしまっている学生も多いのではないでしょうか。

 ただ、テレビはコンテンツホルダーとしての強みがあり、それをテレビというプラットフォームだけではなく、世界に向けて展開する力もあります。配信の視聴数などが大きく取り上げられますが、テレビの視聴率や見逃し配信の視聴数などをトータルで換算したリーチ力はまだまだ価値があると思います。

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――テレビ業界といえば、激務の代名詞でもあります。

 確かに24時間365日放送しているので、忙しい部署もあります。

 コンテンツ制作は、ゴールがないなかで勝負を続けていく世界です。自分のつくりたいものにこだわりを持って、いいものにしていくという思いでみんな仕事をしています。

 もちろん、テレビ局も休みやすい環境を整え、現場にもしっかり浸透しています。テレワークも浸透しているので、安心して応募してほしいです。

――優秀なテレビパーソンに求められる資質とは何だと思いますか。

 難しいですね。クリエイターは、自分のつくりたい、やりたいものをつくっています。そしてつくったものが多くの人に受け入れられた人が優秀ということになると思いますが、ここが難しい。多くの人に受け入れられようと、こねくりまわしてしまったものほど、実際は受け入れられず成功していないのです。どんなテーマを扱うと受けがいい、といったテクニックはありますが、そもそもこの番組で何を伝えたいかという軸がしっかりしていて、ものづくりにこだわれる人ほど成功している、と感じます。

「アメトーーク!」演出の加地倫三、「激レアさんを連れてきた。」演出の舟橋政宏などは、これまで注目されなかったところに光をあてて番組をつくり、成功しています。「アメトーーク!」人気企画の「運動神経悪い芸人」など、運動神経が悪い人をいやな感じではなく、輝いて映るように番組をつくっている。報道でもそうかもしれませんが、光の当たっていないところに光を当てられる人が優秀なクリエイターなのではないかと思います。

――テレビ局に入るために、学生にやってきてほしいことはありますか。

 テレビ局に入るためにやってほしいことはないですが、インプットを増やしてきてほしい。それも興味のあることだけではなく、興味のないことも経験したほうが将来に生きると思います。先ほども言いましたが、視聴者にはいろいろな方がいます。自分がいまいる環境だけが普通の環境ではないと知るために、いろいろなことに挑戦してほしい。社会人になると自分の自由にできる時間も限られてくるので、就活を機にいろいろな会社を見るなど、学生時代にできるだけいろいろな情報を入れることに時間を使ってほしいと思います。

(インタビューの詳細はあさがくナビのニュースサイト「就活ニュースペーパー」に掲載)