売れっ子デザイナーになった篠原ともえ(写真:Motoo Naka/アフロ)

 5月3日に自身のインスタグラムでグリーンのワンピース姿を披露して話題になった、タレントでファッションデザイナーの篠原ともえ(45)。4月16日にもエレガントなブルーのドレス姿の写真を公開していたが、それぞれ「とても綺麗」「見とれる美しさ」など、称賛のコメントが寄せられた。

 篠原といえば、1990年代後半にカラフルな衣装とハイテンションなキャラで「シノラーブーム」を巻き起こし大ブレーク。今でいうフワちゃんのような存在で、世間に強烈なインパクトを与えた。一方、当時はその奇抜さゆえにアンチも少なくなかったが、今ではすっかりすてきな大人の女性に変貌した。

 現在はファッションデザイナーとしての活動が多く、2013年に松任谷由実のステージ衣装のデザインを担当するなど、各方面で引っ張りだこの状態だ。そんな現在の篠原に対するSNSでの声を見ると、「美人だし、憧れの女性」「理想の年の取り方とは、篠原ともえである」など、憧れや尊敬の念を持っている人も見受けられる。女性ファッション誌の編集者はこう語る。

「ファッションデザイナーという新たな道に進んだ篠原ですが、業界でもその才能が評価されています。22年には、大型都市観光ホテル『OMO7(おもせぶん)大阪 by 星野リゾート』のスタッフ用ユニホームのデザインを担当。このプロジェクトには夫が立ち上げたデザイン会社とともに臨み、徹底的に資料を作ってコンペから参加したことを同年のインタビューで明かしていました。パーツや生地も自分で選び、コンセプト作成から生産管理まで全て一貫して取り組んだそうです。また同年、住宅設備機器メーカー『タカラスタンダード』のショールームアドバイザーの制服もデザイン。水の流れをテーマに、動きやすさや着心地の良さを優先してパターンを導いたと説明していました。同年には、自身がデザインした革の着物の作品が第101回ニューヨークADC賞で、シルバーキューブとブロンズキューブの2冠を達成しています。プロとして、しっかり評価されています」

大人っぽい雰囲気になった篠原ともえ(写真:つのだよしお/アフロ)

■オフィスには電車通勤

 タレントが副業でアパレルブランドを出すのとはワケが違う。デザイナーになるため、芸能界の仕事をセーブしていたこともよく知られている。

「メルカリマガジン」(21年8月31日配信)では、表舞台の仕事とモノづくりをする裏方の仕事と、どちらも大好きだったが、アーティストの衣装まで手がけさせてもらえるようになり、デザインの仕事が大きくなっていったと話していた篠原。そんな中、表舞台の仕事に時間が割けなくなってきたのと同時に、デザイナーとしてもっとスキルを上げたい気持ちが芽生え、だったら一度デザインの方に舵を切って見ようと思い、40歳を機に仕事を休んでSNSも全部やめ、20代のときに通った服飾系の大学のオープンカレッジで学んだという。

 仕事を長く休むことは不安だったが、悩み始めると何も生み出さないまま時間が過ぎてしまうので、授業以外の時間も図書館に行ったり手を動かしたり作品を見に行ったりと、頭をデザインで一杯にしたとも語っていた。そのように退路を断ってファッションデザイナーという道に挑戦したところに覚悟を感じる。

 前出の編集者は篠原の現在の活動についてこう話す。

「20年に夫とクリエイティブスタジオを立ち上げ、現在はチームでデザインに取り組んでいます。それまでは生活が不規則だったらしいのですが、会社を作ってからはオフィスに毎日通い、朝8時頃に起きて10時には出社、夕方までに仕事を終わらせて夜12時には寝るという生活になったと以前にインタビューで明かしていました。通勤時間も楽しく、電車の窓から木々を見て季節の変化を感じたり、早く起きた日は手前の駅で降りて街や人々を観察しながら歩いたりして、そうした小さな気づきが創作のヒントになっているそうです。そんな丁寧な暮らしぶりが外見にも表れ、今の美しさや品につながっているのかもしれません」

和服姿もさまになる篠原ともえ(写真:2018 TIFF/アフロ)

■書道や版画教室など5つの習い事

 10代の頃の面影はどこへやら……努力家で落ち着いた女性に成長した篠原だが、デザイナーとなった今も、まだ向上心を持ち続けているようだ。

「今も習い事を5つしていると明かしています。英会話、書道、カリグラフィー、版画教室、3Dソフトを習っていて、その興味が何かのアウトプットにつながると信じているそうです。何歳になっても常に成長しようと努力している姿も魅力的ですが、そうした中で、自分のやりたいことをやりつつ、ビジュアルも年相応の美しさをキープしているところもすごい。そういうところが若い女性には理想的な生き方として映り、憧れる人が増えているのだと思います」

 芸能評論家の三杉武氏は、現在の篠原について「若い頃からその片鱗があった」と述べる。

「若い頃はダウンタウンがMCを務めていた『HEY!HEY!HEY! MUSIC CHAMP』やレギュラー出演していた『LOVE LOVE あいしてる』など音楽番組で存在感を放っていました。とくに後者では、レギュラーだった吉田拓郎さんやゲスト出演した松山千春さんら大物アーティスト相手にも臆することなく強烈なキャラクターを貫いた絡みを見せ、番組を盛り上げていました。当時はファッションも奇抜でキャラも押し出しが強い感じではありましたが、一見なれなれしい態度に見える共演者との絡みでも下品さを感じさせず、音楽業界の大物たちもその存在を認めていました。そうした姿からは、人間性やプロ意識の高さが垣間見えましたね」

 落ち着いた上品さもありながら、努力家で才能も持ち合わせている篠原。今後も長く活躍していきそうだ。

(丸山ひろし)