国内女子ツアー「ヤマハレディースオープン葛城」最終日、2位以下に2打差をつけてスタートした竹田麗央(たけだ・りお)。今季3度目の最終組だったが逃げ切ることができず、首位と1打差の2位タイに終わった。最終ホールではグリーン右手前のバンカーからイーグル寸前となるショットを見せたが、惜しくもカップまで15センチ足りなかった。

最後まであきらめなかった竹田麗央

◆国内女子プロゴルフ<ヤマハレディースオープン葛城 3月28〜31日 葛城ゴルフ倶楽部 山名コース(静岡県) 6455ヤード・パー72>

「ヤマハレディースオープン葛城」最終日、2位以下に2打差をつけてスタートした竹田麗央。今季3度目の最終組だったが、3バーディー、4ボギーとスコアを落として逃げ切ることができず、首位と1打差の2位タイに終わった。

3度目の正直とはならなかった竹田麗央 写真:GettyImages
3度目の正直とはならなかった竹田麗央 写真:GettyImages

 最終18番パー5、首位の小祝さくらとは2打差ある。当然、2オン1パットのイーグル狙いで竹田麗央はアドレスに入った。ピンまで残り230ヤード。手にしたクラブは3番ウッドだった。花道にボールを落とし、そこから転がしてグリーンに乗っていく青写真を描いた。飛ばし屋の竹田だからこそ狙えるルートだ。ところが、しっかりと振り抜いた2打目は花道よりも少し左に飛んで行き、グリーン手前のバンカーにつかまる。この時点で小祝に追いつくのは難しいと誰もが思った。しかし、竹田はあきらめていなかった。「まだこのショットを入れれば追いつける」と。

 ピンまで残り30ヤード。サンドウェッジのクラブヘッドが砂を叩いた時、ターンと乾いた音が響く。同時にピンに向かって転がっていくボール。完全にラインに乗ったかと思いきや、カップの15センチ手前で止まってしまう。「グリーン上にこぶがあり、それで隠れてボールが途中から見えなくなりましたが、ギャラリーから『入れ!』という歓声が上がったので、どうかなと」。すぐにバンカーから出て確認すると、ボールはピンの手前で止まっている光景が目に飛び込んだ。同時に、自分が負けたことを悟った瞬間でもあった。

 開幕2戦目の明治安田レディス、3戦目のVポイント×ENEOSでは、最終日最終組でラウンドしながら、どちらも5位に終わった。「気持ち的にどこかフワフワしていた感じでした」。緊張感で自分のゴルフをできなかった思いが強かった。しかし、今回は同じ最終日最終組でも単独首位という立場。今までよりも落ち着いてプレーできたし、やれるという自信もあった。にもかかわらず、負けてしまったことで悔しい気持ちはより強かった。ラウンド後には思わず悔し涙が頬を伝ったが、それだけ優勝できるという自信があったからだ。

4試合トップテン入りは今季1位

 惜しくもツアー初優勝を逃した竹田だが、その敗因はどこにあったのだろうか。この日のフェアウェイキープ率が50パーセントだったこともあるが、やはり流れをつかみ切れなかったのが大きい。出だし3ホールで同組の川岸史果がスコアを1つ落とし、穴井詩が2つ落としたことで、竹田と2位以下の差は3打に広がった。「前半でバーディーを取れていたらまた違っていたかなと思います」と、竹田自身が語るように1つでもスコアを伸ばしておけば、同組だけでなく、前の組にもプレッシャーをかけることができたはずだ。

 勝負ごとにタラレバは禁物だが、そういった試合の駆け引きも竹田にはいい経験となったといえる。敗れたとはいえ、この4試合での成績は5位、5位タイ、6位タイ、2位タイと安定感は抜群だ。トップテン入り4回は1位であり、メルセデス・ランキングも4位と上位をキープしている。着実に優勝へ近づいていることは間違いない。ブレーク間近であることを信じてこのまま突き進むだけだ。

竹田麗央(たけだ・りお)

2003年4月2日生まれ、熊本県出身。2021年プロテスト合格で同期には櫻井心那、川崎春花、神谷そらなどがいる。母親はツアープロの平瀬哲子、叔母は元賞金女王の平瀬真由美という超サラブレッド家系。ヤマエグループHD所属。

山西英希