ティーショットが曲がりセカンドショットは林の中。ツアープロのように「わずかな隙間からボールを曲げてグリーンを狙う」というのは、アマチュアにとっては無謀で非現実的。そこで、林の中からフェアウェイに脱出するにはどんな方法が最善なのか? 現実的な方法を筒康博コーチに聞きました。

林の中から一番優先すべきは「開けている場所に脱出すること」

 ティーショットが林に入ってしまうと、誰でも「少しでも前に進みたい」と考えるのがゴルファーの心情。しかし、ツアープロのように林の中からグリーンを狙うなんて神技はできないと考えるべきです。

セカンドショットは林の中。アマチュアにとって「現実的な脱出方法」はあるのでしょうか?
セカンドショットは林の中。アマチュアにとって「現実的な脱出方法」はあるのでしょうか?

 理由の一つは、普段から「狭い空間をとおす」練習をしていないこと。二つ目は、林を避けて打ったはずのティーショットがミスしたので「流れが悪い」こと。

 もちろん「ギャンブルと自覚している」なら、狭い空間を狙ってグリーン方向へのトライをすること自体、ゴルファーの自由です。しかしアマチュアの場合、後ろの組が待っていることや同伴者への配慮など、スムーズな進行も気にしなければいけません。

「前に進みたい」気持ちだけで実力以上の狙いをしてしまうと、脱出できないばかりか打球事故のリスクもある
「前に進みたい」気持ちだけで実力以上の狙いをしてしまうと、脱出できないばかりか打球事故のリスクもある

 プライベートゴルフでグリーンを狙える所にボールを動かせるなら構いませんが、コンペや「あるがままでプレーする」という本来のプレーであれば脱出しなければいけません。

 最悪の結果は、木に当たって戻ってきてしまい次のショットも林の中から打たなければいけなくなってしまう事です。スコアばかりか、跳ね返ったボールが当たって大事故のリスクもありますので「現実的に脱出」することを優先して欲しいです。

やったことのない「アイアンで低く抑えて」は失敗する

 林の中から脱出するのに、みなさんは何番アイアンを使い、どんな打ち方を選択していますか?

 まず、上に空間があった場合に備えて、ウェッジは一本持って行ってもいいでしょう。前方が開けていた場合に備えて、ライナーで距離が稼げるミドルアイアンやユーティリティーも上級者なら理解できます。

 しかし、木が密集している林の中、さらに悪いライから脱出するなら「狭い空間を低い弾道で打ち抜く」という極めて難しいショットが要求されます。

とにかくボールを低く転がすなら、パターで打つ選択肢もある。パターならボールが上がってしまうミスもなく、反対側まで飛び過ぎる心配もない
とにかくボールを低く転がすなら、パターで打つ選択肢もある。パターならボールが上がってしまうミスもなく、反対側まで飛び過ぎる心配もない

 ツアープロのように高い技術の人が時間をかけて打てるなら別ですが、プレーの進行を気にしながらサクッとこなさなければいけないのがアマチュアのラウンド。やったこともない「アイアンで低く抑えたショット」を狙うより、「ロフトの立ったアイアンでトップ」の方が確実な方法といえます。

 それも難しいような密集している林であれば「パターで転がす」という選択肢もアリです。唯一のデメリットは距離が稼げないことですが、ボールが高く上がることも飛びすぎて反対側の林に入る心配もありません。アイアンで打つより狭い空間を通せるので、グリーン方向に打つことができて結果的に距離を稼ぐこともあります。

 通常プレーの中での「トラブルの対応」は、限られた時間で行わなければいけません。林とカートを行ったり来たりなんて現実的ではないので、いくつかのパターンを想像してクラブを2〜3本持って行きましょう。打った後も林の中にクラブを忘れないように、くれぐれも注意してください。

スタート前のパター練習時で「グリーン外からロングパット」

 スタート前の練習グリーンを見ていると、ほとんどの人がカップの周りに集まって2〜5メートルほどの練習を行っています。

練習グリーンでカップばかりを狙うよりも、外からやロングパットを行い万が一に「備える」こともあり
練習グリーンでカップばかりを狙うよりも、外からやロングパットを行い万が一に「備える」こともあり

 確かに入ったらうれしい距離ですが、実際にその距離まで寄せられるかは分かりません。仮にショットが好調なら、むしろファーストパットは長い距離になり距離感が重要になってきます。

 むしろ、グリーンの外からや両端からのロングパットの練習をしてはどうでしょうか。練習グリーンで備えていれば、林からパターを打つことだって選択肢にできるうえに、アイアンで低く打ったときの距離イメージも湧くかも知れません。

【解説】筒 康博(つつ・やすひろ)

伝説のプロコーチ・後藤修に師事。世界中の新旧スイング方法を学び、プロアマ問わず8万人以上にアドバイスを経験。スイング解析やクラブ計測にも精通。ゴルフメディアに多数露出するほか、「インドアゴルフレンジKz亀戸」ヘッドコーチ、WEBマガジン「FITTING」編集長を務める。

猿場トール