「欧州プレミアム・ブランドが本気を出したときの恐ろしさをまざまざと見せつけられる」 これがメルセデスAMG EQE53 4マチック・プラス SUVに試乗した石井昌道の本音だ!!
「欧州プレミアム・ブランドが本気を出したときの恐ろしさをまざまざと見せつけられる」 これがメルセデスAMG EQE53 4マチック・プラス SUVに試乗した石井昌道の本音だ!!
「高級車として究極のレベル」石井昌道
ここ数年は仕事の半分近くがBEVであったりするほど、多くのモデルに試乗しているが、テクノロジーの進歩に舌を巻くことも少なくない。
その1つがメルセデス・ベンツが真打ち登場とばかりに送り出してきた、BEV専用プラットフォームのフラッグシップ・モデル達だ。
そのうちの1台であるEQE SUVを今回走らせてみると、改めて凄みを感じた。
とにかくノイズの抑え込みが半端なく、各部のフリクションの少なさによる上質な乗り味など、高級車として究極のレベルにあるのだ。
BEVはエンジン音がない分、ロード・ノイズや風切り音、特有のエレキ・ノイズなどが目立ちがちになるものだが、EQE SUVは「やればここまで出来るのか!」と感心させられるほど静か。
かつて静粛性といえば日本車がナンバーワンで、欧州車は音に無頓着だと言われていたが、いまはメルセデス・ベンツの足元にも及ばないほどになってしまった。
欧州プレミアム・ブランドが本気を出したときのおそろしさをまざまざと見せつけられるとともに、最新テクノロジーを味わう幸せを噛みしめることができるのだ。
「ここまでの“やりすぎ感”をもつBEVはめったにない」小川フミオ
別項でマセラティMC20チェロのことをエモーションをかきたてるよさがあると書きましたが、こちらは角度が違う。格闘技とかラグビーなどの競技のようなエモーションを喚起させます。つまり興奮です。ここまでのクルマ、日本にないでしょう。
4880mmの全長に1670mmの全高のボディに、460kWの最高出力をもつパワートレインとAWDシステムを搭載。
なめらかな輪郭のスタイリングゆえか、見た目の凝縮感が強くて、ある種の美があります。ただしそれでも、縦スリットの大型フロント・パネルとか、21インチ径ロードホイールに組み合わされた275/40サイズのデカいタイヤとかで、筋肉質な印象が勝ってます。
実際に驚くほど速い。かつ、もう1つの驚きは、あまりに静粛性が高いので、スピードを感じにくいこと。箱根のターンパイクの下りとかでは、けっこう強力に効くブレーキの恩恵を感じながら、どこまでいけるのか、とやや焦ったほどです。
ここまでの“やりすぎ感”をもつBEVはめったにない。EQシリーズで電動SUVの先鞭をつけたメルセデス・ベンツとしては常勝を課せられているのでしょう。
写真=小林俊樹(メイン)/郡 大二郎(サブとリア)
(ENGINE2024年4月号)