6年振りに大幅アップデートを受けた新型Gクラス。ここでは内燃モデルやPHEVから遅れて情報が公開されたGクラス初のバッテリーモデル、G580 with EQ テクノロジーにスポットを当てる。


最高出力は588馬力!

注目のスペックは思わずワクワクさせられるものだ。電気モーターは何と各輪1基ずつの合計4基を搭載。それぞれ最高出力108kW(147ps)、最大トルク291Nmを発生し、合計出力は432kW(588ps)、1164Nmを誇る。しかも各輪に1.9:1のローレンジが組み込まれているのだ。



電子制御によるバーチャル・デフロック、トルクベクタリングなどの働きにより、その場で360度回転ができるGターン、タイトな道で舵角を抑えるのに貢献するGステアリング、悪路での速度維持を容易にするオフロード・クロウルといった機能が追加されている。最大渡河深度は850mmで、何と内燃エンジン車の700mmを上回る。電装系は完全に密閉されており、しかも内燃エンジン車には必須のエア・インテークが不要なおかげだ。



ラダーフレーム内に見事に収められたバッテリーの容量は116kWhで、航続距離は470kmとされる。実は前述のAピラーカバー、スポイラーリップに加えてボンネットを高く持ち上げたことなどにより、Cd値は従来の0.53から0.44へと改善されている。元のフォルムをできるだけ維持しながら空気抵抗を低減し、電費向上に繋げたわけだ。3085kgにも達する車重を考えても、まずまずの数値と言えるだろう。

新型Gクラスは、遂に訪れた電動化の波を、見事に新しい魅力として活用することに成功した。

文=島下泰久 写真=メルセデス・ベンツ



(ENGINE 2024年6月号)