仕事をされている主婦にとって、「年収の壁」は気になるワードではないでしょうか?   本記事では、最初に年収の壁に関するアンケートの紹介と、年収103万円と年収130万円の違いや就業調整について解説していきます。

主婦が意識する年収の壁のトップは?

就職、転職、人材紹介などを手掛ける株式会社マイナビ(東京都千代田区)が、2023年2月に「主婦のアルバイト調査(2023年)」を実施しました(対象者:20~50代の既婚女性、就業者1753人、非就業者1645人)。
 
それによると、20〜50代で現在アルバイトとして就業中の主婦が意識する年収の壁で最も多かった回答が、「130万円」で26.2%でした。次いで多かったのは「103万円」で19.8%です。
 
後述する「就業調整はしていない」という回答は40.7%だった一方で、主婦の約6割が年収の壁を超えないように意識していることが分かります。
 

就業調整と年収103万円、年収130万円の壁

就業調整とは、年収を一定額以下に抑えるために働く時間を調整することです。
 
先ほどのアンケート結果でも多かったように、主婦が扶養の範囲内で働くには、年収103万円の壁(給与所得控除額+基礎控除額)と年収130万円の壁(社会保険の収入基準)を意識する必要があります。
 
年収10万円に関しては、給与から差し引ける給与所得控除額が最低55万円、基礎控除額が48万円なので、合計103万円以内であれば所得税はかかりません。
 
また、年収130万円未満かつ、同一生計の被保険者(社会保険加入者)の年間収入の2分の1未満といった要件に該当すれば、社会保険の扶養から外れることもありません。
 
ただし社会保険に関して、以下の項目に該当している場合は加入対象となります(現状では従業員数101人以上の勤務先。2024年10月からは従業員数51人以上の勤務先)。


・週の所定労働時間が20時間以上30時間未満
・月額賃金が8万8000円以上
・2ヶ月を超える雇用の見込みがある
・学生ではない

月額賃金8万8000円は年額105万6000円なので、上記に該当する職場で働く場合は意識する必要があるでしょう。
 
ただし先述したアンケート調査において、「就業調整をしている」と答えた人のなかで、「年収の壁がなくなったら、現在よりもっと働きたいと思うか」という質問に対し、全体の58.4%が「もっと働きたい」と回答しています。
 
内訳は「現在の雇用形態でもっと働きたい」が43.8%、「現状維持が良い」が34.5%、「雇用形態を転換(非正規→正規、有期契約→無期契約など)してもっと働きたい」 が14.6%です。
 
その理由としては、「貯金をするため」が73.2%、「世帯収入を増やしたいため」が67.4%、「自分で好きに使えるお金を増やしたいため」が50.7%という結果でした。このように、年収の壁が撤廃された場合は、「より働いてお金を増やす」という意識が強いことが分かります。
 

まとめ

本記事では、主婦が意識している年収の壁と就業調整について紹介しました。年収103万円と年収130万円を意識して働いている主婦が多いものの、同時に「年収の壁がなくなった場合は今以上に働きたい」という希望も強いようです。
 
今後、社会保険の加入対象がさらに広がる可能性もあるので、その時々の状況に合わせて働き方を考えるとよいでしょう。
 

出典

株式会社マイナビ 主婦のアルバイト調査(2023年)
厚生労働省 社会保険適用拡大特設サイト 配偶者の扶養の範囲内でお勤めのみなさま
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー