子どもを大学などに進学させようと考えたとき、学費の支払いや仕送りができるのか、家計簿を眺めて迷う人は多いでしょう。住んでいる自治体によっては、奨学金の返還負担を支援してくれるところもあるのはご存じでしょうか。本記事では、各自治体が行っている支援制度などを解説します。

奨学金を借りている学生はどのくらいいるの?

日本学生支援機構「令和2年度学生生活調査結果」によると、何らかの奨学金を受けている学生は、大学(昼間部)では49.6%、短期大学では56.9%でした。
 
日本学生支援機構から借りられる金額は大学進学する人の場合、無利息の第一種で月額最大6万4000円、有利息の第二種で月額最大12万円(私立大学医学部などの場合は、さらに最大4万円増額)です。大学生活の4〜6年間での奨学金受給額は数百万円前後となります。
 

奨学金返還を支援している自治体数と内容は?

地方企業への就職と地方定着を目的として、自治体が学生の奨学金返還負担を軽くしようと補助する制度があります。奨学金返還支援の取り組みは、2022年度では36都府県615市町村が行っています。
 
大きく分けて「返還免除(自治体から貸与された奨学金の一部または全額が返還免除)」と「返還支援(補助金などで奨学金の返還費用を支援)」の制度がそれぞれ行われています。
 

<返還免除を行っている自治体例>

(1)北海道夕張市:夕張市内に居住・就労で、最大5年間で120万円補助(年額24万円上限)
 
(2)福岡県飯塚市:高校から大学まで月額最大4万5000円を貸与し、卒業後に飯塚市内に居住していれば、その期間分の返還額を免除

 

<返還支援を行っている自治体例>

(1)岩手県:大学等を卒業後に県内認定企業に正規雇用で就業し、8年間継続して勤務する、または県内に定住する見込みである人に最大250万円を補助
 
(2)山口県:大学等卒業後、半年以内に県内に居住・就業した場合に、その実績に応じて奨学金の返還額の一部を毎年補助し、最大年額20万円(最大5年間で100万円)

 

返還支援制度を利用するときの注意点は?

それぞれの自治体が行う奨学金返還支援制度において「一定期間以上の就職・定住」を要件に定めているところが多く、期間内に退職・転居した場合には補助の対象外になることもあります。
 
そして、就職先について「医療や農林業など特定の職業に就くこと」や「市内に本社・本店を有する中小企業に正規雇用」と記載している場合や、国および地方公共団体の職員になった場合は制度対象外になることもあります。
 
制度の利用者募集が行われたときには、自分が要件を満たしているのか、将来の生活計画と合っているのか考えてから応募するのも良いでしょう。
 

まとめ

奨学金の返済負担を軽くするための制度を行っている自治体は36都府県あります。それぞれの自治体によって返済支援してもらえる金額が異なり、制度に応募できる条件や人数に限りがあります。進路や就職を決める際に、自分が住む地域に奨学金返還支援制度があるのか調べ、利用するか家族で話し合うのがよいでしょう。
 

出典

独立行政法人 日本学生支援機構 令和2年度 学生生活調査結果

独立行政法人 日本学生支援機構 令和2年度以降採用の給付奨学金と併せて受ける場合の貸与月額

独立行政法人 日本学生支援機構 第二種奨学金の貸与月額
内閣官房 デジタル田園都市国家構想実現会議事務局 内閣府地方創生推進事務局 「奨学金」を活用した大学生等の地方定着の促進
北海道夕張市 奨学金返還支援事業

福岡県飯塚市 返還免除型の奨学金制度について

公益財団法人 応募要項

山口県 山口県で活躍するあなたを応援します! やまぐち若者育成・県内定着促進事業奨学金返還補助制度について

福島県鮫川村 奨学金制度

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー