配偶者の扶養に入ると、税法上また社会保険上の負担を軽減できることもあり、扶養の範囲内で働いている方も多いかもしれません。   しかし、2022年10月より社会保険適用拡大が行われたことで、扶養を外れ、社会保険料を支払うことによるメリットが増えました。そのため、扶養の範囲内で働くほうがいいのか、扶養を外れたほうがいいのか迷う方もいらっしゃるかもしれません。   本記事では、扶養内で働く場合についてや、年収いくら以上から扶養を外れたほうが得になるかを解説します。

扶養内で働く場合の年収はどれくらいにおさえればいい?

一定の年収を超えた場合には、扶養を外れ、社会保険料を払う必要があります。その結果、扶養者から控除される金額が減少したり、被扶養者の方は税金の負担が増加したりするために、手取りが少なくなってしまうこともあるでしょう。また、年収103万円を超えると、所得税がかかるようになります。
 
さらに、パートやアルバイトの方が気にするものとしては「年収106万円の壁」と「年収130万円の壁」でしょう。内閣官房内閣広報室 首相官邸「年収の壁、突破へ」の内容を基に、詳しい内容をご紹介します。

「年収106万円の壁」

以下の条件を満たす場合には、勤務先の健康保険、厚生年金保険に加入する必要がある
●事業所の従業員数(厚生年金保険の被保険者数)が101人以上
●週の所定労働時間が20時間以上
●所定内賃金が月額8.8万円以上
●学生ではない

「年収130万円の壁」

●自分で国民年金、社会保険への加入が必要になる
●事業者の従業員数が100人以下

年収の壁を超えると、社会保険の恩恵を受けられるというメリットはあるものの、手取り収入としては減ってしまうというデメリットも考えられます。
 

扶養を外れたほうが得になる年収は?

前項で述べたように、年収130万円を超えると、社会保険料が増えることになります。
 
加入する社会保険にもよりますが、社会保険料は収入の約14%です。そのため、130万円の約14%が社会保険料として引かれることや、所得税などの税金の負担を踏まえると、手取りが大きく減少することが予想されます。
 
130万円の14%は18万2000円となるため、手取りの減少分をカバーするためには年収150万円以上が必要でしょう。ただし、年収が150万円を超えると配偶者特別控除の金額が減少するため、損をしないためにはもう少し多く収入を得る必要があります。
 
そのため、もし年収130万円を超えて働くのであれば、税金と社会保険料をカバーできるよう収入を増やしていくことをおすすめします。
 
なお、社会保険に加入していれば、手取りは減るものの将来受け取れる年金が増えることがメリットです。そのため、手取りが減っているからといって一概に損している状態とはいえないでしょう。
 

手厚い保障を受けながら、年収を伸ばす方がお得

年収130万円付近であると、年金や社会保険といった保障が手厚くなりますが、手取りが少なくなり、結果として希望する額を受け取れなくなってしまう恐れがあります。
 
税制上、また社会保険料の負担が発生しますが、年収130万円から収入を上げていくことで、手取りを減らさずに社会保険の恩恵も受けられます。
 
希望する働き方や、どのくらい収入が必要かといった条件も踏まえて、扶養から外れるかどうかの選択をするといいでしょう。
 

出典

内閣官房内閣広報室 首相官邸 年収の壁、突破へ
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー