年収130万円未満で調整しながら働いているにもかかわらず、扶養を外れて自分で社会保険に加入しなければならないと言われたら、衝撃を受けることでしょう。実は年収130万円未満だからといって安全圏にいるわけではないのです。   本記事では、年収130万円未満でも扶養を外れてしまう理由と、どのようなケースだと自分で社会保険に加入しなければならないのかについて解説します。

「年収130万円未満」が要件となるのは、扶養する配偶者側

「年収130万円未満」といえば、社会保険の扶養に入れる年収としてひとり歩きしている部分があるので、まずは整理していきましょう。年収130万円未満というのは、扶養する配偶者側の社会保険が被扶養者(扶養される人)の年収限度として定めている金額です。例えば、パートとして働く妻を夫の扶養に入れたい場合、年収129万9999円までであれば被扶養者になれます。
 

自分が勤める会社側における社会保険加入要件

会社は、パートやアルバイトなど短時間で働く従業員であっても、以下の要件に該当する人については社会保険へ加入させなければならない義務があります。
 
・正社員の1週間の所定労働の4分の3以上働いている
 
例えば、正社員の1週間の所定労働時間が40時間である場合、30時間以上働くと社会保険に加入しなければなりません。
 

【2022年10月改正】さらなる要件

「4分の3の壁」をクリアしたとしても、2022年10月からさらなる壁が誕生していることにも注意しなければなりません。以下の要件にすべて該当する人も、社会保険に加入しなければならないからです。
 

・従業員数101人以上の会社である
・週の所定労働時間が20時間以上
・所定内賃金が月額8万8000円以上
・2ヶ月を超える雇用の見込みがある
・学生ではない

 

年収130万円未満でも扶養を外れてしまうケース

それでは、年収130万円未満でも自分で社会保険に加入しなければならなくなるケースを紹介します。
 

・年の途中から働く時間を増やした
・従業員数101人以上の会社に転職した
・フリーランスとして働いている

 
最も多いと考えられるケースは、1年の途中で働き方を変えた場合です。例えば、6月までは月8万円、7月から月12万円稼いだ場合、年収は120万円ですが、7月以降の働き方が前記の要件を満たしている場合には、7月から社会保険に加入することになります。ちなみに、12万円に対する社会保険料(介護保険料含む)は約2万円です。
 
次に、従業員数100人以下の会社から101人以上の会社に転職をした場合です。従業員数101人以上の会社については、前記のとおり社会保険に加入する基準が低く設定されているので、以前の会社と同じように年収130万円弱稼いでしまうと、社会保険の加入要件に該当するでしょう。
 
最後に少し変わったケースです。フリーランスで働く人は、扶養に入れる年収130万円未満という金額は「利益」ではなく「売上」である点に注意しなければなりません。利益が100万円でも売上が200万円であれば、年収130万円未満ではないので配偶者の扶養から外れる必要があります。さらに、会社に勤めているわけではないので、国民健康保険と国民年金に加入することとなります。
 

まとめ

社会保険の扶養に入れる年収130万円未満であっても、自分で社会保険に加入しなければならなくなるケースはあります。年の途中から働き方を変えた、転職したという場合には可能性が高くなるので注意してください。働いてしまった後に調整はできないので、事前に確認してから行動したいですね。
 

出典

全国健康保険協会 被扶養者とは?
厚生労働省 社会保険(厚生年金保険・健康保険)への加入手続はお済みですか?
日本年金機構 短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大のご案内
 
執筆者:佐々木咲
2級FP技能士