「定年後、年収が150万円しかないので金銭的な不安が大きい……」というときの選択肢として、子どもの扶養に入る方法を検討される方もいらっしゃるでしょう。   子どもの扶養に入るには、一定の条件に該当している必要があります。   本記事では、65歳で子どもの扶養に入ることができる年収や、扶養に入るメリットなどをご紹介します。

子どもの扶養に入れる条件とは?

まずは、被扶養者に該当するためには、満たす必要がある収入要件を確認しておきましょう。
 
日本年金機構によると、社会保険の被扶養者に該当する収入要件は、以下の通りです。

・60歳以上:年間見込み収入180万円未満まで
 
・60歳未満:年間見込み収入130万円未満

さらに上記要件に加えて、以下の要件も満たしている必要があります。

・同居している場合:収入が扶養者の半分未満であること
 
・別居の場合:収入が扶養者からの仕送り額未満であること

収入には、年金や健康保険の傷病手当金、雇用保険の失業等給付なども含まれるため、確認する際には注意が必要です。
 
また、収入面以外にも「同一世帯の条件」を満たしていなければなりません。
 
例えば、配偶者や子、孫などの直系尊属は、被保険者と同居していなくても問題ありませんが、それ以外の3親等内の親族や、内縁関係の配偶者の父母および子については、被保険者と同居している必要があります。
 

子どもの扶養に入るメリットとデメリットは?

子どもの扶養に入った場合は、親の社会保険料が免除になります。
 
国民健康保険料や国民年金保険料を負担しなくて済むようになることは、大きなメリットでしょう。
 
子どもが支払う保険料は増えないため、家族単位での負担をおさえられます。
 
一方デメリットは、子どもの扶養に入ることで、高額療養費制度の自己負担額が高くなることです。
 
高額療養費制度の自己負担上限額は、所得に応じて決まります。
 
子どもの扶養に入ると、子どもの所得で計算されることになるため、支払いが高額になるおそれがあります。
 

何歳まで扶養に入れるのか?

日本では、75歳になると後期高齢者医療制度に加入することになります。
 
従って、74歳までは扶養に入ることができます。
 
75歳以降は、それまで加入していた医療保険上の扶養から外れて、自分で後期高齢者医療制度の保険料を支払う必要があるのです。
 
後期高齢者医療制度は2008年から施行された制度で、75歳以上のすべての高齢者を対象としています。
 
都道府県ごとの医療費水準に応じた保険料を、高齢者全員で公平に負担するという制度です。
 

65歳で年収150万円ならば子どもの扶養に入れる可能性がある

60歳以上で年間収入が180万円未満であれば、要件を満たすことで、子どもの扶養に入ることが可能とされています。
 
子どもの扶養に入ることで、親の社会保険料の支払いが免除になるなどのメリットについても、確認しておくとよいでしょう。
 
子どもの扶養に入れるのは、75歳になるまでの期間です。
 
75歳になると、後期高齢者医療制度に加入することになるため、自身で保険料を支払う必要がある点に注意が必要です。
 

出典

日本年金機構 従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き
厚生労働省 後期高齢者医療制度について
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー