「子どもを持ちたいけれど、子育て期間に収入が減るのが不安」という家庭は多いのではないでしょうか。産前産後や子どもが小さいうちは、夫婦だけのときと同じように働くことは難しい反面、どうしても必要なお金は増えます。   そこで本記事では、子どもがいる家庭、いない家庭の生活費を比較するとともに、子育て期間の家計の助けになる公的な制度をまとめました。

夫婦だけの世帯と子どもがいる世帯の生活費はどのくらい違う?

子どもができると、夫婦だけの生活と比べて食費などの出費が増え、生活費が多く必要になります。総務省「2023年 家計調査」によると、夫婦のみの世帯と18歳未満の子どもがいる世帯の1ヶ月当たりの平均的な生活費と内訳は、それぞれ図表1のとおりです。
 
【図表1】

夫婦のみ世帯 子どもがいる世帯
食料 7万7302円 8万5743円
住居 2万3926円 1万7569円
光熱・水道 2万896円 2万2767円
家具・家事用品 1万3106円 1万2845円
被服・履物 1万21円 1万2927円
保健医療 1万5059円 1万3985円
交通・通信 5万2356円 5万1967円
教育 53円 2万923円
教養娯楽 3万814円 3万4767円
その他 6万5292円 5万8597円
合計 30万8825円 33万2089円

総務省「2023年 家計調査」より筆者作成
 
子どものいる家庭のほうが食費や教育費が高く、生活費全体では2万円あまり金額が大きくなっています。
 
なお、図表1のデータは、個別の世帯の子どもの年齢や人数等が考慮されていない点に注意が必要です。子どもの人数が多ければ、食費や教育費はその分増大します。また、就学前〜小学生に比べると、中学生〜大学生の期間はより多くの教育費がかかるのが一般的です。
 

子育てで働けない期間に役立つ手当や給付金の制度

子どもが小さくて夫婦の一方が働けない期間や、子育てに専念するために働かないことを選択した期間の収入について、不安を感じる家庭も多いでしょう。
 
日本では、子育て期間の収入を補助する制度がいくつか設けられているため、内容を把握しておくと家計の見通しを立てられて安心です。ここでは、産休中・育休中に役立つ3つの制度を簡単に紹介します。
 

出産手当金・育児休業給付金

出産手当金とは、会社に勤めている女性が産前産後休暇を取る場合や資格を満たして退職した場合に、勤務先の健康保険から出産前後の一定の期間について支給されるお金です。標準報酬月額をもとに、約3分の2の金額が支払われます。
 
育児休業給付には、産後パパ育休を取得した父親が受け取れる「出生時育児休業給付金」と、原則として子どもが1歳になるまでの育休期間に両親が受け取れる「育児休業給付金」の2種類があります。育児休業給付の金額は、賃金の50〜67%が目安です。
 

児童手当

児童手当は、中学校卒業まで(2024年10月以降は高校卒業まで拡充予定)の子どもを養育している人が受け取れる給付金です。子ども1人につき、3歳未満の期間は1ヶ月当たり1万5000円、3歳以降は1ヶ月当たり1万円(小学生までは第3子以降1万5000円)が支給されます。
 
現行の制度(2024年3月現在)では所得制限が設けられていますが、2024年10月以降は制限が撤廃され、収入が多い家庭でも児童手当を受け取れるようになる見通しです。
 

失業給付の受給期間の延長

失業給付の受給期間延長制度は、妊娠・出産などの理由で引き続き30日以上働けない日がある場合に、働けない日数分を受給期間に加算して最大3年間まで延長できる制度です。
 
原則として、失業給付の受給期間は離職日の翌日より1年間です。会社を退職して子育てをしている間に本来の受給期間が切れてしまう場合でも、延長制度を利用すれば、子育てが一段落したあとに失業給付を受け取りながら再就職を目指せます。
 

子どもが増えると生活費は増えるが受け取れるお金も多い

夫婦だけの世帯に子どもが加わると、食費や教育費などが多くかかるようになり、必要な生活費が増えるのが一般的です。一方で、出産手当金や育児休業給付金、児童手当など受け取れるお金もあります。
 
何を、いつ、いくらくらい受け取れるのかをしっかり把握し、生活費が増えてもやりくりできそうかどうかをシミュレーションしてみましょう。
 

出典

総務省 統計局ホームページ/家計調査報告 ―月・四半期・年―
全国健康保険協会 出産手当金について
厚生労働省 育児休業給付について
こども家庭庁 児童手当制度のご案内
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー