貯蓄をした際に発生する利息には、税金が発生します。利息に対する税金は約20%かかるので、節税したいと考える方も少なくないでしょう。   もし節税したいのなら、貯金額自体を抑えるのではなく、利子所得が非課税になる制度を活用することも方法のひとつです。   今回は、貯金することで発生する税金の種類や、利子所得が非課税になる制度などについてご紹介します。

利息は源泉分離課税の対象

預貯金や公社債の利子、公社債投資信託などの収益の分配により得た収入を「利子所得」と呼びます。利子所得は、所得税の15.315%に地方税の5%を足した20.315%の源泉分離課税がかかります。
 
例えば、100万円を年利0.2%で預金した場合の利息は、1年間で2000円です。しかし、利子所得の源泉分離課税が引かれるため、実際に受け取れる金額は1594円になります。
 

利子所得が一部非課税になる制度もある

源泉分離課税の対象外となる制度もあります。
 
もし預金の目的が年金受給時までの資産形成や住宅資金の場合は、財形貯蓄制度のなかでも「財形年金貯蓄」や「財形住宅貯蓄」を活用しましょう。最大で550万円までが非課税となるので、節税に役立ちます。
 
また、障害者の方などは、「マル優」や「特別マル優」を利用すれば預貯金や国債の利子所得を節税可能です。
 

財形貯蓄制度

財形貯蓄制度とは、会社を通して給料から天引きする形で貯蓄できる制度です。財形貯蓄制度で非課税になるものは「財形年金貯蓄」と「財形住宅貯蓄」があります。各制度の特徴は表1のとおりです。
 
表1

制度 内容
財形年金貯蓄
(勤労者財産形成年金貯蓄)
・会社を通して給料から一定額を老後の資金のために定期的に積み立てると、財形住宅貯蓄と合わせて貯蓄残高が550万円までは利子所得が非課税になる
・受取期間は満60歳から5年以上20年以内
・ただし、保険の払込金の場合は385万円までが非課税対象
財形住宅貯蓄
(勤労者財産形成住宅貯蓄)
・会社を通して給料から一定額を住宅資金のために定期的に積み立てると、財形年金貯蓄と合わせて貯蓄残高が550万円までは利子所得が非課税になる
・資金の使い道は住宅の建設や購入、75万円以上のリフォームなど

※筆者作成
 
両制度の利用条件は共通しており、以下の条件にすべて該当していれば、制度を利用できます。
 

・1人1契約
・満55歳未満の従業員
・積立期間は5年以上

 

マル優制度

マル優制度とは、障害者手帳を持っている方や遺族年金を受給している方などが利用できる制度です。「障害者等のマル優」と「障害者等の特別マル優」の2種類があり、それぞれの特徴を表2にまとめました。
 
表2

制度 内容
障害者等のマル優
(障害者等の少額預金の利子所得等の非課税制度)
・障害者手帳を保有していたり遺族年金を受け取っていたりすると、預貯金などの元本350万円までの利子が非課税になる
・障害者等の特別マル優と併用できる
障害者等の特別マル優
(障害者等の少額公債の利子の非課税制度)
・障害者手帳を保有していたり遺族年金を受け取っていたりすると、国債と地方債の額面合計350万円までの利子が非課税になる
・障害者等のマル優と併用できる

※国税庁「No.1313 障害者等のマル優(非課税貯蓄)」を基に筆者作成
 
マル優と特別マル優を利用できる方は、以下の条件のいずれかに該当している方です。
 

・障害者手帳を持っている方
・障害年金を受給している方
・遺族年金を受給している妻
・寡婦年金を受給している妻 など

 

少しでも節税をしたいなら非課税になる制度を利用する

貯金をしたことで発生する利息には、利子所得として源泉分離課税がかかります。源泉分離課税の税率は20.315%なので、節税したいのであれば非課税制度の活用が有効です。
 
年金を受け取るまでに資産を貯めたい方や住宅資金にしたい方、障害者の方などは非課税制度を利用できる可能性があります。自分が条件に該当していないか、チェックしておきましょう。
 

出典

国税庁 No.1310 利息を受け取ったとき(利子所得)
国税庁 No.2230 源泉分離課税制度
国税庁 No.1319 財形年金貯蓄
国税庁 No.1316 財形住宅貯蓄
国税庁 No.1313 障害者等のマル優(非課税貯蓄)
厚生労働省 財形貯蓄制度
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー