ふるさと納税は、応援したい自治体に寄附ができる制度です。お礼として返礼品が送られるのを目当てに、利用している人も多いでしょう。税負担も少ないので人気がありますが、年金収入だけの人でもメリットはあるのでしょうか。本記事ではふるさと納税の仕組みや、年金収入だけの人が利用する場合の注意点を解説します。

ふるさと納税の仕組み

ふるさと納税は、実質2000円の負担で寄附ができるといわれていますが、それは1年間に寄附した金額から2000円を差し引いた金額が、その年の所得税や翌年の住民税から控除されるからです。
 
しかし、寄附金の金額によっては2000円を超える負担も発生するケースもあるので、ふるさと納税の仕組みや限度額についてよく理解しておきましょう。
 

ふるさと納税の流れ

ふるさと納税の仕組みと流れは、以下のとおりです。

1. 自治体を選んで納税(寄附)をすると受領書(寄附を証明する書類)が発行される
 
2. 寄附をした翌年の 3月15日までに上記の書類を添付して確定申告を行う
 
3. ふるさと納税を行った年の所得税から控除される
 
4. ふるさと納税を行った翌年度の住民税も控除されるので減額となる

全額控除されるのは年間限度額以内

前述のとおり、ふるさと納税では寄附金から2000円を引いた部分は原則として全額控除されますが、寄附した人の年収や家族構成によって、年間の限度額が定められています。
 
給与所得者の年間限度額の目安を一部、図表1にまとめたので参考にしてください。
 
【図表1】

給与収入/
家族構成
独身または共働き(※1) 夫婦(※2)または共働き+高校生(※3)1人 夫婦+高校生1人
300万円 2万8000円 1万9000円 1万1000円
400万円 4万2000円 3万3000円 2万5000円
500万円 6万1000円 4万9000円 4万円
600万円 7万7000円 6万9000円 6万円

総務省「ふるさと納税のしくみ 税金の控除について」をもとに筆者作成

※1 配偶者控除の適用を受けていない人(配偶者の給与収入が201万円超の場合)
 
※2 配偶者が専業主婦(夫)などで収入がない人
 
※3 16〜18歳の扶養親族の場合

ワンストップ特例制度とは

ふるさと納税の寄附金は、原則として確定申告で控除を申請します。しかし、確定申告をしなくても控除できる、ワンストップ特例制度があります。ワンストップ特例が利用できるのは、寄附した自治体の数が5団体以下の場合です。6団体以上の場合は、確定申告が必要となります。
 
ワンストップ特例では、寄附をするときに各自治体にそれぞれ「ふるさと納税ワンストップ特例の申請書」を提出する必要があります。なお、マイナンバーカードを利用したオンライン申請が可能な自治体もあります。
 

年金受給者がふるさと納税をする場合の注意点

ふるさと納税の利用には収入の制限などはないので、年金受給者でも利用することは可能です。ただし、返礼品を受け取れるメリットはありますが、年金受給者の収入によっては税制面でのメリットを受けられない可能性があります。
 
寄附金控除を受けられるのは、所得税や住民税を納めている人に限られるので、課税対象にならない収入であればメリットになりません。つまり、実質2000円の負担であるはずのふるさと納税が、全額負担になってしまいます。
 
所得税がかからない公的年金の収入の目安は、65歳未満は108万円以下、65歳以上は158万円以下です。住民税は、市区町村によって住民税率が異なるため確認が必要です。
 

年金受給者でもふるさと納税はできるが、年金額などをよく確認してから利用しよう

実質2000円で利用できるふるさと納税は、年金受給者でも利用することが可能です。しかし、ふるさと納税のメリットには返礼品と税制上のメリットがありますが、年金受給者は税制上のメリットを受けられない可能性があります。
 
年金受給者は、利用する前に必ず自身が所得税や住民税を納めているかを確認しておきましょう。もし非課税であれば、返礼品をもらえるメリットはありますが、税制上のメリットがない点に注意する必要があります。
 

出典

総務省 ふるさと納税のしくみ ふるさと納税の概要
総務省 ふるさと納税のしくみ ふるさと納税の流れ
総務省 ふるさと納税のしくみ 税金の控除について
国税庁 No.1600 公的年金等の課税関係
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー