昔は、老後は年金のみで暮らしていた人は多かったかもしれませんが、昨今は年金をもらいながら働く人も増えてきました。内閣府の「令和5年版高齢社会白書」によると、ここ10年で60〜64歳と65〜69歳の就業率は10%以上増えています。   そのような中、年金をもらいながら働いた場合、税金がどうなるか気になる人も多いのではないでしょうか。   本記事では定年後に年金を15万円受け取りつつ、別途働きながら10万円稼いだ場合、確定申告が必要かどうか解説しています。

年金も給与もまずは源泉徴収される

年金も給与もまずは源泉徴収として、さまざまな費用が天引きされます。
 
具体的には、所得税や住民税、厚生年金保険料、健康保険料、雇用保険料、介護保険料などが挙げられます。なお、介護保険料は65歳未満では給与からの天引きですが、65歳以降は年金から天引きされます。
 

年金は雑所得のため確定申告が必要

給与も年金も源泉徴収されているのであれば、会社で税金の過不足の精算である年末調整がなされ、自分ではなにも処理する必要がないと感じる人も多いでしょう。
 
しかし、年金は雑所得の扱いですので、条件を満たす人は確定申告を自分でする必要があります。具体的には、次の(1)、(2)のどちらかに該当すれば、確定申告が必要です。

(1)公的年金等の収入金額の合計額が400万円を超える
 
(2)公的年金等以外の所得金額が20万円以上である

毎月15万円の年金、10万円の給与収入の場合、年金の確定申告は必要か

それでは、今回の事例では年金の確定申告は必要なのでしょうか。まず年金の受給額ですが、毎月15万円の12ヶ月分は180万円ですので、こちらでは(1)に非該当です。
 
続いて給与ですが、(2)の基準は給与から控除を引いた所得です。給与収入は控除前を指すとして計算すると、給与収入が年間75万円以上であれば、所得金額が20万円となります。
 
今回は毎月10万円稼いでいますので、年間では120万円で75万円以上です。つまり、今回のケースでは、年金の確定申告は必要です。
 
年金を受け取りながらとはいえ、会社員として年間で75万円稼ぐ人は多いでしょう。そのため、年金を受け取りながら働く多くの人は確定申告が必要だといえそうです。
 

年金の金額次第では給与所得が一定以上あっても確定申告は不要

今回のケースでは確定申告は必要ですが、仮に(2)を満たしていても、年金の受給金額が少なければ雑所得が生じないため、確定申告が不要となる場合があります。そして、年金の場合は「公的年金等控除額」が設けられています。
 
公的年金等控除額を考慮すると、65歳未満は年金の受給額が60万円以下、65歳以上は110万円以下であれば雑所得が0円となり、確定申告は不要です。
 

まとめ

働きながら年金を受け取る多くの場合、年金の確定申告が必要です。確定申告には期限もありますので、対象の人は忘れずに行いましょう。
 

出典

内閣府 令和5年版高齢社会白書(全体版)(PDF版)第2節 高齢期の暮らしの動向 1 就業・所得
日本年金機構 年金から介護保険料・国民健康保険料(税)・後期高齢者医療保険料・住民税を特別徴収されるのはどのような人ですか。
国税庁 公的年金等を受給されている方へ
国税庁 No.1410 給与所得控除
国税庁 No.1600 公的年金等の課税関係
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー