「手取りで1万円賃上げ」は高い方?
厚生労働省が公表した「令和5年 民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況を公表します」によると、令和5年の平均妥結額は1万1245円で、前年の6898円から4347円の増加となっていることが分かります。
交渉前の平均賃金に対しては3.60%の賃上げで、前年の賃上げ率2.20%からは1.40%の増加となっています。
ただし、給料が1万1245円賃上げしても、そのまま受け取れるわけではありません。保険料や税金などが引かれて7〜8割が手取りになると考えた場合、7872〜8996円の賃上げとなります。
そのため、今回の事例のように「手取りで1万円の昇給」は平均より多いと考えていいでしょう。
産業別賃上げ要求・妥結状況は?
同資料の「第1表 令和5年民間主要企業春季賃金上げ要求・妥結状況」によると、主な産業別の賃上げ要求と妥結状況は表1のようになっています。
表1
産業 | 要求額 | 妥結額 | 賃上げ率 |
---|---|---|---|
建設 | 1万1878円 | 1万1913円 | 3.36% |
食料品・たばこ | 1万772円 | 8614円 | 2.73% |
機械 | 1万5194円 | 1万3593円 | 4.33% |
自動車 | 1万3289円 | 1万2225円 | 3.83% |
電力・ガス | 4494円 | 2410円 | 0.84% |
金融・保険 | 1万7154円 | 1万3092円 | 4.15% |
※厚生労働省「令和5年 民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況を公表します 第1表」を基に筆者作成
賃上げ率は多くの産業で増加しており、賃上げが行われている企業が増えていると考えられます。
昇給が少ない場合の対処法は?
昇給額が思うように上がらず悩んでいるときにできることは、会社から自分を高く評価してもらえるよう業務の見直しを図ることです。それでも昇給が少なければ、転職も検討した方がいいかもしれません。
特に、造船や精密機器・繊維などの産業は平均昇給額が高めである場合が多いため、転職を考えてみましょう。
「手取りで1万円の賃上げ」は平均より高い
令和5年の平均妥結額は1万1245円であり、前年よりも4347円の増加となっているということが分かりました。
ただし、上記の金額はあくまで額面の増加分であり、手取りにすると1万円以下となる可能性が高いでしょう。
そのため「昇給したが、手取りにすると1万円しか変わらなかった」と残念に思う必要はありません。「手取りで1万円の賃上げ」は平均より上回っており、状況としては「恵まれている方」と考えてもいいと思われます。
もし昇給額が平均以下で悩まれているなら、平均昇給額が高めの会社への転職を検討してみることも必要かもしれません。
出典
厚生労働省 令和5年 民間主要企業春季賃上げ要求・妥結状況を公表します
第1表
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー