新しい薬を安心して使えるようにするために必要な「治験」。この治験に参加する「治験バイト」の報酬が高額だと聞いたことがある方もいるのではないでしょうか?   しかし認可されていない薬の接種には、少なからずリスクがともないます。   そこで今回は、治験バイトで得られる報酬額の目安と、考えられるリスクについてご紹介します。

治験バイトとは?

「治験バイト」とは何かを知る前に、まずは「治験」について理解しておきましょう。
 
新薬の開発には、さまざまな工程が必要です。
 
まずは多くの実験を行い、病気に対し効果が見込め、人が摂取しても問題ないとされる「くすりの候補」を作ります。さらに、人に対してどのような効果が得られるのか、実際にくすりの候補を用いた臨床実験を行います。この臨床実験が「治験」、参加することが「治験バイト」です。
 
治験は「薬機法」と薬機法に基づき国が定めた「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(GCP)」を守り、治験に参加する人の人権最優先で行われます。
 
実施前には、治験の方法や目的・効果・副作用などの書かれた説明文書を基に、医師から詳しい説明が行われます。治験へ参加するかどうかは、患者自身が決められるため、申し込んだら必ず参加しなければならないわけではありません。
 

治験バイトで受け取れる報酬

治験バイトで受け取れる報酬は、治験の内容によって異なります。
 
治験バイトは、宿泊がともなうものや通院のみのものなどさまざまです。宿泊日数の長い治験や、長期間定期的に通院しなければならない治験ほど、金額が高くなります。
 
報酬額は、通院のみ2回ほどで終わる治験で3万円程度、最初に1週間以上宿泊し、その後半年間にわたり10回以上通院する治験で40万円程度を報酬として受け取れる可能性があるでしょう。
 
なお「治験バイト」とはいうものの、実際に雇用契約を結んでいるわけではありません。厳密には有償のボランティアだと考えることもできます。
 
受け取る報酬も、正しくは「負担軽減費」と呼ばれ、日常生活や拘束時間などの負担を軽減する目的で支払われるようです。
 

治験バイトのリスク

高額報酬が期待できる治験バイトですが、リスクがあることも理解しておかなければなりません。治験で摂取する薬は、病気を改善する効果が期待できる一方で、副作用が出る可能性もあるためです。
 
もちろん治験中には、製薬会社の担当者が治験を行う病院で頻繁にモニタリングを行いますし、治験内容を審査した治験審査委員会も、適切に進められているか審査を行います。しかし、副作用がまったく起こらないという確証はありません。
 
副作用は、事前に医師から説明があります。治験中に、ほかの患者さんに副作用が現れた場合は、その都度説明があり、継続するか意思確認も行われます。
 
参加するかは自分自身の意思で決められるため、どんなに報酬が高額だったとしても、不安がある場合は辞めることも考えたほうがよいでしょう。
 

治験バイトは高額報酬だがリスクもともなう

治験バイトは、内容によって報酬額が異なります。高額な場合は、数十万円になることもあるでしょう。
 
しかし、副作用のリスクがともなうことも確かです。
 
治験によっては、多くの方の病気の改善や命を助けられる可能性もあります。その助けになるのは喜ばしいことですが、実際に参加するかどうかは安易に決めず、医師の説明や渡される説明文書を参考に決定しましょう。
 

出典

厚生労働省 1.治験とは
厚生労働省 2.治験のルール「GCP」
厚生労働省 3.インフォームド・コンセント
厚生労働省 5.治験における副作用への注意
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー