頻繁に出張に行く方の中には、たまったマイレージをこっそりプライベートで使っている人もいるかもしれません。   しかし、出張費を会社側が出していることから、私的利用が罪に問われることはないのか疑問なところです。   今回は、たまったマイレージを私的利用すると罪になるのか、さらに勝手に使ってしまった場合のリスクについて解説します。

出張でたまったマイレージを私的利用すると業務上横領罪に問われる可能性がある

出張でたまったマイレージを私的利用すると、場合によっては業務上横領の罪に問われる可能性があります。「業務上横領罪」とは、刑法で次のように定められています。
 
「業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、十年以下の懲役に処する」
 
例えば事前にプライベートのカードを使って出張旅費を立て替えた場合、カードにたまったマイレージに関して、2つの考え方があります。
 
ひとつは「従業員が支払ったため、マイレージは従業員本人のものであり、私的に使っても業務上横領罪には問われない」。もうひとつは「最初に従業員が支払ったとはいえ、最終的には会社側が経費を負担するため、たまったマイレージは会社側の財産とみなす」というものです。
 
それぞれ全く異なる考え方なのは、法律上はっきりした答えが出ていないためです。
 

業務上横領罪になる可能性があるケース

具体的に業務上横領の罪に問われる可能性があるのは、次のような場合です。
 

就業規則に規定がある

会社の就業規則に、会社の経費でたまったポイントは会社の財産となる旨が記載されていた場合、横領の罪に問われる可能性があります。
 
これは、自身のカードで立て替えて支払った場合も同様だと考えられます。
 

会社のカードにたまったポイントを使った

マイレージは個人に付与されるため、会社のカードにたまることは通常ありませんが、ポイントの場合は会社の財産とみなされる可能性が高いでしょう。
 
もしも私的に使ってしまった場合は、横領とみなされる可能性があります。会社のカードにたまったポイントは、私的に使わないと心得ていたほうがよいでしょう。
 

出張でたまったマイレージを私的利用した場合のリスク

万が一出張でたまったマイレージを私的に利用した場合、罪に問われる可能性があるだけでなく、ほかにもリスクがあります。
 
場合によっては、会社側からこれまでに私的利用した分を、返還請求されるおそれがあるでしょう。
 
また、私的に利用したことで、懲戒解雇される可能性が考えられます。就業規則に私的利用を禁止し、反した場合は懲戒解雇となる旨が書かれている場合は、とくに注意が必要です。
 

マイレージの私的利用は会社のルールに従おう

出張でたまったマイレージを私的に利用した場合、罪に問われる可能性があります。経費でたまったポイントやマイレージは、たとえ自身のカードであったとしても、私的利用は避けたほうが無難です。
 
対応に疑問がある場合には、まず就業規則を確認し、必ず上司や経理に相談しましょう。
 

出典

デジタル庁e-Gov 法令検索明治四十年法律第四十五号刑法第二百五十三条
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー