「マイナビ Japan Cup 名古屋大会」BMXフリースタイル・フラットランド種目がHisaya-odori Park メディアヒロバ(愛知県名古屋市)にて、2024年4月27日(土)〜28日(日)の2日間に渡り開催され、男子エリートは片桐悠選手が、女子エリートは鈴木仁菜選手が優勝を収めた。

2024年シーズン開幕戦となった今大会には全国から年齢問わず国内トップクラスのBMXライダーたちが集まり、エリート・アマチュア含め全10カテゴリーにてハイレベルな戦いが繰り広げられた。なおエリートカテゴリーには今までJFBFシリーズに出場して来なかったトップライダーが参戦し、本当の意味で国内最高峰の戦いとなった。

そして会場となったのは愛知県名古屋市の「Hisaya-odori Park メディアヒロバ」。同時開催となったパーク種目の会場である「オアシス21 銀河の広場」の向かいにあるこの場所。吹き抜けの開放的な広場から見えるテレビ塔が特徴的なこの地に大会用のステージが設置された。

大会当日はパーク種目の併催、そしてゴールデンウィーク期間中であったことから、多くの観光客や通りすがりの一般の方などたくさんの観客が足を運び、世界最高レベルと言われる日本人トップライダーたちの高難度なルーティンとそのライディングに目を奪われていた。予選では雨の影響で一時中断することもあったが無事に全行程が開催され、終始大盛り上がりの大会となった。

以下は、今大会注目のエリートクラス決勝の大会リポート。

優勝者は男女ともに世界トップレベルの実力者。男子エリートは片桐悠が優勝。女子エリートでは鈴木仁菜がエリートカテゴリー初出場初優勝。

男子エリートクラス

男子エリートクラス決勝は、前回大会を上回る参加選手21名の中から前日の予選を勝ち上がった上位8名にてよって争われた。今回はほぽ国内のトップライダーがフルメンバーで登場する戦いとなった。決勝には今年2月の「FISE Enoshima」の優勝者である片桐悠をはじめ、 3月に開催された「CHIMERA A-SIDE KUMAMOTO」で優勝した佐々木元、現UCI世界チャンピオンの荘司ゆう、そして過去11回の世界タイトルを持ち今もなお日本のBMXフラットランド界を牽引する内野洋平が初参戦するなど、国内でも稀に見るメンバーによるマッチアップで決勝が行われた。

片桐悠のライディング

そんなハイレベルの戦いを制し今回優勝を勝ち取ったのは片桐悠。リアトリックを中心に繰り出される誰も真似できない最先端なトリックのルーティンが特徴的な彼は、会場を盛り上げるネクストレベルの見事なライディングを魅せた。

今回も彼の代名詞でもある正確無比な「バイクフリップ」を入れ込むルーティンでランを始めると、バイクを逆さまにしたスタンスから様々なスピンをルーティンに加えていく。その中でバイクをスイッチしながら、ペグからバランスの取りにくいペダル軸に切り替えたりと、高難度なスピンの数々をメイクしていく中で特に難しい彼のシグネチャートリックである「舞空術」もメイク。終盤にはバックワーズの動きでゆっくり時間をかけてバイクを切り返していくルーティンは彼の異常なほどのバイクコントロールを感じさせるものだった。

そんなフルメイクのランで今大会にて唯一の90点台である90.75ptをマーク。数々の世界大会の実績を残し続けている彼が圧倒的な強さを見せる一戦となった。なお片桐は今月に開催される「FISE Montpellier」にも出場予定のため、引き続き彼のパフォーマンスには注目だ。

漢那史哉のライディング

準優勝は過去には日本強化指定選手経験を持つ若きベテランライダーの一人でもある漢那史哉。ここ最近はあまり良い結果を残せておらず悔しい思いをしてきた彼が今大会でその思いを爆発させるランを見せた。

彼の得意とするフロントトリックベースのスタイルから繰り出される様々なスピントリックのトランジションではバイクを跨いで通したり、ステムに足をのせた状態で回るなど彼の独創的なトリックを織り込んだルーティンを展開。
ラン終盤でも勢いは止まることなく、途中のミスもものともしないワンルーティンにたくさんのコンボを詰め込んだ攻めのライディングを見せた。そんなランは84.75ptの評価を受けて彼を準優勝へ導いた。

荘司ゆうのライディング

3位は現在のUCI世界チャンピオンである荘司ゆう。他選手にはないライディング中にジャンプしながらフロントタイヤとリアタイヤを自由自在に動き軸を変える「トランスファー」というトリックを得意とする彼は、今回も一発目からそのトランスファーを決めるルーティンを決めるが、中盤では新しいトランスファーのルーティンにトライするも失敗が続く。しかしライディングの終盤にはトランスファーからブーメランという高難度ルーティンを見事決め切り復調。自身のスコアを83.00ptとして3位になった。

女子エリートクラス

一方、女子エリートクラス決勝も国際大会経験豊富な選手や、昨今急成長を見せている選手たちが集まった。そして今回の決勝進出者は全員10代と若手のライダーがひしめき合う中、計7名で2024年シーズン開幕戦での優勝者の座争いが繰り広げられた。

鈴木仁菜のライディング

そして今回、そんな世界を股にかけて活躍する選手たちが揃う中で優勝を収めたのはなんと女子エリートクラス初出場となった15歳の鈴木仁菜。

女子では珍しいリアトリックに特化したスタイルが特徴的な彼女は「スネークスピン」を入れたルーティンを皮切りに、「ロンモアスピン」からフロントペグを持ちバイクのお腹側の姿勢で加速するとバイクを半回転させて正姿勢に戻していくルーティンをメイク。

その後は綺麗な「アラウンドザワールド」をメイクしたりとハイレベルなルーティンでまとめたライディングで87.50ptをスコアし、女子エリートクラス初出場初優勝という結果を残した。今年2月の「FISE Enoshima」の優勝者でもある彼女がさらに強さを示した大会となった。

吉村想花のライディング

準優勝は鈴木と同じくルーキーとして今回のエリートカテゴリーに出場した吉村想花。フロントトリックとリアトリックの両方を器用に扱う彼女は、今回のランでもその強みを活かしたライディングを見せる。

その中でも「ロープアローニ」からのバックワーズの動きから「ハーフディケイド」のルーティンを決めた時には嬉しさからガッズポーズを見せるなど、彼女だからできるトリックをふんだんに詰め込んだライディングでスコアを83.25ptにして初エリートカテゴリーで準優勝という好成績を残した。

中川きららのライディング

3位は昨年の「FISE Montpellier」で銀メダルを獲得しており国際大会の経験豊富な中川きらら。スカッフをうまく活用して様々なトリックを組み込んだロングルーティンを見せる彼女は、今回もフロントタイヤの「スカッフ」からバイクを回しながらバックワーズに進みグライドトリックに繋げるルーティンを見せる。

その後はリアトリックの「メガスピン」や、フロントトリックの「クラックパッカー」と「バックパッカー」を繋ぐルーティンも決めて見せた。ただ数回足を着くミスも目立ったことからポイントを伸ばすことができず82.00ptとした。

今大会は男女共に普段出場しない選手たちが参戦しており、より国内のBMXフラットランドのコンテストシーンの垣根がなくなっているようにも感じられた。まだまだ注目の大会がたくさん開催される今年。日本のBMXフラットランドシーンが新たなフェーズへ突入する年になることだろう。

優勝者コメント

優勝した鈴木(左)と片桐(右)

片桐 悠 選手(男子エリートクラス)
「皆さま応援ありがとうございました。3月のCHIMERA A-SIDE KUMAMOTOが終わってから1ヶ月半くらい、何度も何度もルーティンを繰り返し練習して今大会に挑みました。次はFISE Montpellierに向けて頑張っていきますので引き続き応援よろしくお願いいたします。」

鈴木 仁菜 選手(女子エリートクラス)
「1位になることができて本当に嬉しいです。今大会に向けてコツコツ練習してメイク率を上げてきたので、結果的にフルメイクで終えることができてよかったです。これからも技の難易度を上げて大会で決められるように頑張ります。」

大会結果

<男子エリート>
優勝: 片桐 悠 (カタギリ・ユウ) / 90.75pt
準優勝: 漢那 史哉 (カンナ・フミヤ) / 84.75pt
第3位: 荘司 ゆう (ショウジ・ユウ) / 83.00pt

<女子エリート>
優勝: 鈴木 仁菜 (スズキ・ニナ) / 87.50pt
準優勝: 吉村 想花 (ヨシムラ・ソナ) / 83.25pt
第3位: 中川 きらら (ナカガワ・キララ) / 82.00pt

<キッズ6アンダー>
優勝: ハラフジ・ミナル / 36.67pt
準優勝: カイ・ニチカ / 40.00pt

<ガールズロー>
優勝: ヤマザキ・キッカ / 50.00pt
準優勝: マスブチ・シズク / 48.33pt
第3位: オカヤマ・ミオ / 47.00pt

<ボーイズ7-9>
優勝: サトウ・ジョウジ / 56.00pt
準優勝: クラウチ・レオ / 54.67pt
第3位: ハラフジ・ジョウジ / 54.33pt

<ボーイズ10-12>
優勝: サトウ・ライジ / 73.67pt
準優勝: カナモト・リュウヤ / 69.33pt
第3位: ヤマシタ・リュウセイ / 68.67pt

<ガールズハイ>
優勝: ホンムラ・カリン / 77.00pt
準優勝: タグチ・シホ / 69.00pt
第3位: カドイ・ヒマリ / 66.67pt

<男子13-15>
優勝: ハヤカワ・ユオ / 77.00pt
準優勝: ヒシカワ・タカトラ / 74.33pt
第3位: モリモト・アシタ/ 71.00pt

<エキスパート>
優勝: ワタナベ・ソウタ / 74.00pt
準優勝: オリカワ・シユウ / 70.33pt
第3位: アカシ・キョウヤ / 69.00pt

<30オーバー>
優勝: カタオカ・エイジ / 76.00pt
準優勝: ヒナゴ・トモヒロ / 75.67pt
第3位: フジイ・セイジ / 70.67pt

大会概要

⼤会名称 : 「マイナビ JapanCup 名古屋大会」(フラットランド第1戦) 
開催期間 : 2024年4月27日(土)〜28日(日)- 2日間 –
※詳細は公式HPをご覧ください。
大会会場:Hisaya-odori Park メディアヒロバ(愛知県名古屋市中区錦3丁目16) 主催: 一般社団法人 全日本フリースタイルBMX連盟(JFBF)
後援:愛知県、名古屋市
特別協賛:株式会社マイナビ
協賛:鎌ケ谷巧業
出場カテゴリー:全10クラス(アマチュア含め)
男⼦エリート 21名・⼥⼦エリート 7名

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