■業績動向



2. 財務状況

財務体質の安全性を測る代表的な指標の推移を見ると、自己資本比率が前期末の65.1%から2022年12月期末は64.7%、流動比率が同245.6%から269.1%、ネットキャッシュ(現金及び預金-有利子負債(プラスはキャッシュ超過))が同7,854百万円から9,885百万円となった。ネットキャッシュは順調に増加しており、流動資産に含まれる有価証券1,300百万円及び固定資産に含まれる投資有価証券14,543百万円も加えた広義のネットキャッシュは25,728百万円に達している。これは2023年3月10日時点のCAC Holdings<4725>時価総額33,154百万円の77.6%となり、バリュー投資の観点から注目される。



ここ数年、同社は取得簿価が低いリクルートの株式を継続的に売却し、財務基盤を充実しつつM&Aや事業構造改革を遂行してきた。とりわけ、2019年12月期には資本効率向上等の観点もあって一気に2,000千株を売却(総額5,970百万円、売却益5,291百万円)したものの、続く2020年12月期の売却株数は150千株にとどまり、2021年12月期には売却そのものが行われなかった。一方、2022年12月期は売却しているようで、売却益は約800百万円とみられる。



国内IT事業の好調を背景に、2022年12月期も財務基盤の拡充が続いている。また、今後の成長戦略を支える財源としてリクルート株(2022年12月期末の保有株数1,719千株、評価額11,984百万円)を温存できたことは注目に値するだろう。



(執筆:フィスコ客員アナリスト 永岡宏樹)