福島県内の高校野球で実戦の場を増やしてチーム力を底上げする新たな取り組みが広がっている。公式戦がない時期に有志校がリーグ戦を行い、勝敗にとらわれず挑戦する意識を育む。選手は「成長至上主義」を掲げる取り組みの効果を実感し、春の大会を待ち望む。

 参加しているのは福島成蹊、安積黎明、橘、会津北嶺、会津工、勿来工の6校。昨年10〜11月に初の総当たり戦を繰り広げた。

 東京六大学の立教大野球部で主将を務めた阪長友仁さん(42)=大阪府=を中心に、2015(平成27)年に大阪府で始まった取り組み。各都道府県で有志校が集まり、投手の球数制限や低反発バットの使用など独自の規則で戦う。2024(令和6)年度は本県を含む34都道府県で175校が参加予定だ。

 福島成蹊は公式戦の出場機会が少ない選手を中心に臨んだ。3試合に出た金子和申さん(17)=3年=は「リーグ戦は失敗を次の試合に生かすチャンスがある。チーム全体でチャレンジ精神が身についた」と強調する。

 昨夏の県大会でベスト4に躍進した会津北嶺は練習や試合を共にする機会が少ない1、3年生を中心に編成。下級生が真剣勝負に臨む上級生の姿勢を間近で学んだ。野球部の篠原良部長(35)は「例年より練習の意識が高くなり、冬場の実力向上につながった」と効果を実感する。

 阪長さんは「従来の公式戦だけでない選択肢を増やし、子どもの成長につなげてほしい」と語っている。

(ワイド)