新年度が始まり、 宴会が増える時期だからこそ気を付けたいのが、大きな病気にもつながる「脂肪肝」。実は近年、お酒を飲まない人も脂肪肝になるケースが増えているという。どんなリスクがあるのか取材した。

■日本人の4割に症状がみられる「脂肪肝」 目安は血液検査の「ALT」30オーバー

肝臓に余分な中性脂肪がたまってしまう「脂肪肝」。 今や日本人の約4割に症状がみられると言われている。実際に街の人に話を聞いてみると、「脂肪肝」と診断された経験がある人は多かった。

50代:『ちょっと脂肪肝あるね』って言われたことはあります。食べる量がかなり多いんですよ、体見てもらったら分かるんですけど。

50代:見た目が太ってるように見えなかったから『脂肪肝ではないんじゃないか』って言われたけど、エコーで診ると『脂が乗ってる』と言われて。

60代:毎年そういう指摘はされてますけど、体調もそんなに変わらないし。(Q.飲み会でも気にせず飲む?)そうそう、気にはあんまりしてない。

「毎年脂肪肝と指摘されても、体調はさほど変わらない」と語る男性もいたが、油断は禁物。肝臓は“沈黙の臓器”といわれ、初期はほとんど自覚症状がない。しかし、放っておくと「肝硬変」になったり、最悪の場合「肝臓がん」に進行したりするケースもある。

脂肪肝の目安となるのが、血液検査の項目で肝機能を示す「ALT」の値。 日本肝臓学会によると、ALTが30を超える場合は、「脂肪肝」の恐れがあり注意が必要だということだ。

■「お酒=脂肪肝」ではない アルコール原因でない脂肪肝の人が増加

「太ってないから大丈夫」「わたしはお酒を飲まないから」 、そんな人も注意が必要だと医師は指摘する。

兵庫医科大学病院 飯島尋子医師:お酒を全く飲まないから、脂肪肝ではないということは絶対にない。飲まない人に起こる脂肪肝というのが、肝炎を起こす脂肪肝で、いま一番問題になっている。

近年「肝硬変」の患者の中に、アルコールが原因でない脂肪肝の人の割合が増えていて、背景にはカロリーが高い料理や、糖分の多い食材が増えたことなどがあるという。

■「お酒は飲まないけど、ラーメン大好き」食いしん坊記者の検査結果は…

関西テレビの井上真一記者(33)も、お酒は全く飲まず、血液検査の数値は問題なかったが、「キヤノン」が開発した、軽度の脂肪肝でも正確に発見できる最新機器で調べてみると…

兵庫医科大学病院 飯島尋子医師:軽い脂肪肝ありますね。
井上記者:え!
兵庫医科大学病院 飯島尋子医師:腎臓の色と肝臓の色を見ると、ちょっとこっちが白い。

検診の結果、「脂肪肝」であることが分かった。検査に使用した「キヤノン」の機器は、これまで画像の目視で判断していた脂肪肝の度合いを、数値化できるようにしたもので、早期発見の難しかった軽度の脂肪肝も見逃すことなく見つけることが可能だ。

兵庫医科大学病院 飯島尋子医師:どんな食生活ですか?
井上記者:ラーメンが大好きで、週2〜3回ラーメン食べます。妻には内緒で、ランチにラーメン食べてます。
兵庫医科大学病院 飯島尋子医師:甘いもの好きですか?
井上記者:仕事の途中で、チョコも食べてます。
兵庫医科大学病院 飯島尋子医師:肝臓の中には甘いものや炭水化物、ラーメンなど麺類、パンがたまりやすい。

お酒を一滴も飲まない井上記者だが、「糖質の取りすぎ」と「運動不足」が「脂肪肝」を引き起こしている可能性があることが分かった。兵庫医科大学病院の飯島尋子医師は、「生活のスタイルを変えたり、運動とか増やしていただいて良くなれば、これから悪くなることは、今の段階では全くないと思います」と井上記者にアドバイス。「脂肪肝」は「生活習慣」を変えることで改善できるということです。

検査機器を開発したキヤノンの担当者は、「脂肪肝を数値化して判定してほしい」という医療現場のニーズの高まりが開発につながったと語る。

キヤノンメディカルシステムズ 超音波開発部長 今村智久さん:かねてより医療関係者から脂肪肝を数値化して判定できるようにしてほしい、という要望が届いていました。そこで、脂肪の有無によって音の通りやすさに違いがあるという点に着目し、機器を開発しました。物を映す、映像化をする、というキヤノンが大切にしてきた技術を使って、医療の分野でも貢献していけたらと思っています。

こうした新たな検査機器の開発などにより、初期の診断も可能となった脂肪肝。医師は、「がんのリスクもあるので、ぜひ検診を受けてほしい」と呼びかけている。

兵庫医科大学病院 飯島尋子医師:検診していないことが原因で、すごく大きながんができていることがよくある。ぜひ検診を受けてほしい。

放っておくと怖い「脂肪肝」。定期的な検診と生活習慣の見直しを心がけてほしい。

(関西テレビ「newsランナー」2024年4月9日放送)