「皆さんご覧の通りアメリカでの成績は満足できるものではなかった」

 5年ぶりにDeNAに復帰した筒香嘉智内野手が18日、本拠地・横浜スタジアムで公開入団記者会見を行った。前回在籍した最終年の2019年は、主将で主砲という絶対的な存在だった。しかし米国では苦汁をなめ、チームも若手が頭角を現す。変わった立場を実感しているからこそ、繰り返した言葉があった。

 公開会見と、その後行われた囲み取材。筒香は合計4度も「ポジションを獲りに行く」と発言した。NPB通算968試合で打率.285、205本塁打、613打点と実績は十分ながら、“与えられた場所”はないことを自覚している。

 2016年には44本塁打&110打点で2冠に輝き、球界を代表する打者に成長を遂げて日の丸の常連となった。しかしメジャーでは通算182試合で打率.197、18本塁打、75打点。決して成功とはいえなかっただろう。「皆さんご覧の通りアメリカでの成績は満足できるものではなかったですが、プロ野球選手は結果で評価されるのが当たり前。結果が出なかった原因と今も向き合っています」と真っ向から受け止める。

 その上で「4年間たくさんチームを移動しましたけど、毎日生きるか死ぬかみたいな本当に勝負の日々でしたので、そういう意味では僕の中では財産となっていますが、過去を振り返っている時間はないと思いますので目の前のことに集中しています」とキッパリ。常に掲げる「野球がうまくなるため」、そして次の目標に掲げた「ベイスターズの優勝」のために、前だけを向いている。

 渡米後も、横浜への思いは人一倍強かった。チームの結果を気に掛け、オフに帰国した際にはこっそり横浜スタジアムを訪れ試合を観戦したこともある。3月にジャイアンツを退団後「日本に帰ってプレーするモチベーションが上がらなかった」というのが本音だが、「横浜で優勝を目指す」ということが再び筒香の心を燃やした。

 実績も経験もキャプテンシーもある。でもまず大事なのは「ポジションを獲りに行く」ということ。その言葉に、日本球界復帰への覚悟が見えた。(町田利衣 / Rie Machida)