ホンダのコンパクトミニバン、ホンダ フリードが公式サイトで先行公開された。フリード、そしてその前身となったモビリオはコンパクトミニバンの先駆けともいえるモデル。そういう意味でも、新型フリードは気合の入ったモデルになっていそうだ。そこで今回は、新型フリードについて現段階で判明している情報をお届けするとともに、歴代フリード、モビリオを振り返って中古車相場を探っていこう。

新型フリードはこんなクルマ

 6月に発売が予定されている新型フリード。先日、内外装のデザインや一部情報が解禁された。開発コンセプトは「”Smile” Just Right Mover」。使う人が笑顔になるような、ちょうどいい感じのクルマ……という意味。ボディサイズは、全長4310mm、全幅1695mm(クロスターは1720mm)、全高1755mmとなっており、ひとまわり大型化している。特にSUVライクのクロスターでは全幅が1700mmを超え、3ナンバー化されたのがトピックだろう。外観デザインは、水平基調のヘッドランプとフォルムを採用し、ハコ感を強調。機能的で上質な印象を与えるスタイルが見どころである。

 インテリアもシンプルな仕立てとなり、機能をまとめた操作パネルやわかりやすく整理されたメーターなど、誰もが使いやすいデザインが採用された。2列シートと3列シートから選択可能で、後者はキャプテンシートの6名乗車とベンチシートの7名乗車を設定。キャプテンシートは車内を自由に移動できるウォークスルーも新型フリードの目玉となっている。

 ラインアップは、スタンダードな「フリード エアー」とアウトドアにぴったりのクロスオーバー仕様「フリード クロスター」の2つのバリエーションで展開される。パワートレインは2モーターハイブリッドシステム「e:HEV」を搭載し、力強い走りを約束する。

 次は、歴代モデルとその相場動向を振り返ってみたい。

先代モデル(2016年〜2024年)

 2016年に登場した先代フリード。3列シート車の「フリード」と2列シート車の「フリード+」が同時に登場した。先代よりも躍動感のあるデザインを採用し、ドライバーズカーとしての魅力を追求。パッケージングは、シート間のヒップポイント間距離を90mm拡大し、全列のシートで大人が快適に過ごせるスペースが確保されている。

 インテリアは、フリードでは木目調パネルを採用してリラックスできる空間を演出。フリード+ではハイコントラストなメタル調パネルやモノトーン基調でまとめられ、ツール感を強調するなど、モデルごとに差別化が図られているのも話題となった。パワートレインは1.5Lガソリン、1.5Lハイブリッドの2機種を設定。特に後者は、発売当時でミニバントップレベルの27.2km/L(JC08モード)を達成している。安全装備のホンダセンシングは、2019年10月のマイナーチェンジで全車標準となったことも覚えておこう。

 中古車物件は非常に多く、価格も手頃。いまフリードを買うなら先代モデルがおすすめ。中古車価格帯は100万円〜320万円、中古車平均価格は200万円と手頃。低走行車の割合も多く、安心して買えるのが魅力だ。ガソリン、ハイブリッドとも物件数は同じ程度なので、好みに応じて選べる。いま購入するならホンダセンシングが標準化された2019年10月以降のモデルをチョイスしたい。

初代(2008年〜2016年)

 モビリオの後継モデルとして2008年に登場したのが初代フリード。全長4215mm、全幅1695mm、全高1715mm(2WD車)のコンパクトなボディに3列シートを備えるのは現行モデルと同じ。低床設計により、2列目のフロア高が390mmと低く、子どもやお年寄りでも乗り降りしやすいのが魅力である。また、600mmの開口幅を持つ両側スライドドアを採用し、荷物を抱えていても開閉できるパワースライドドアも一部グレードに設定された。また5名乗り、7名乗り、8名乗りと3タイプのシートレイアウトを設定し、幅広いライフスタイルに応えているのも初代フリードの特徴となっている。

 パワートレインは当初1.5L直4を搭載し、CVTを組み合わせる。燃費は、発売当時としては優秀な16.4km/L(10・15モード)を達成。2011年には24.0km/L(10・15モード)の1.5Lハイブリッドが登場している。なお、派生車種として、2010年に2列シートのコンパクトワゴン「フリードスパイク」も登場。こちらは、反転フロアボードや大容量カーゴルームなど、アウトドアに便利な機能が多数盛り込まれた。

 登場から16年経過しているが、中古車物件はまだ豊富に流通している。中古車価格帯は30万円〜150万円、中古車平均価格は60万円と、かなり安くなっている。ただし5万km以上の多走行車が大部分を占めており、ホンダセンシングなどの安全装備もないことを留意しておきたい。

モビリオ(2001年〜2008年)

 最後にモビリオにも触れておこう。コンパクトカーをベースとした3列シートミニバンの先駆けとして、2001年12月に登場。当時、このクラスは2列シートが中心だったが、7名乗車を実現したのが斬新だった。全長4055mm、全幅1685mm、全高1740mm(グレード:Y/2WD車)のボディサイズは、その後のフリードよりもひとまわり小型。センタータンクレイアウトにより、大人でも3列目シートに座れるスペースが確保されている。フロントドアは斜めに開く前傾ヒンジドア、リアには両側スライドドアを採用することで、狭い場所での乗降性に優れているのも注目ポイント。パワートレインは1.5Lガソリンを搭載し、これにCVTを組み合わせている。なお、後に2列シートのモビリオスパイクも登場している。

 中古車価格帯は30万円〜60万円とかなり安くなっているが、物件数は非常に少ない。車両のコンディション、安全装備、燃費性能などを考慮すると、2024年5月現在のクルマ選びの選択肢に入れるのは現実的ではなさそうだ。

まとめ

 新型フリードが登場したあと、現行型モデルの相場が変動する可能性が高い。2024年現在の中古車平均価格は200万円だが、今後はグッと下がるはず。コンパクトなのに広々してレジャーにぴったりのフリードは、愛車選択の大きな選択肢のひとつになるはずだ。

著者:グーネットマガジン編集部