主張しすぎずお互いを引き立て合う、京都のコーヒーの相棒はドーナツ。コーヒー時間をより深めるドーナツに出会える、老舗喫茶店と新進のコーヒースタンドを紹介します。

六曜社珈琲店一階店

ずっと変わらない姿であり続けるドーナツ200円。ブレンドコーヒー500円。

京都に脈々と受け継がれる喫茶文化を感じる一階店と、じっくりコーヒーに向き合う地下店。2つのスタイルを持つこの店は、ドーナツが代名詞的存在でもある。「40年近く前に地下店ができて、その数年後から母がドーナツを作るようになりました。大阪で大正時代から続く〈平岡珈琲店〉のドーナツを好んで、試行錯誤したそう。レシピは門外不出なんです」と奥野薫平さん。奇を衒うところのないドーナツは、外側はサクッと、中はふっくら。口にすればほっと心が和み、コーヒーと引き立て合う。「元々お菓子づくりが好きな母の作るドーナツは、本当に素朴で、慣れ親しんだ味。ふと、また食べたくなるんです」

1950年に祖父が創業した店を受け継いだ、店主の奥野薫平さん。

平日でも50〜60個、週末ともなれば100個以上作るというドーナツ。とはいえ売り切れ御免。まだドーナツはあるかなと、目当てに訪ねたい味なのだ。

六曜社珈琲店 一階店

住所:京都府京都市中京区河原町三条下ル大黒町40
TEL:075-221-3820
営業時間:8:30〜22:30(22:00LO)
定休日:水休
席数:35席

地下店では注文ごとに豆を挽いてドリップする自家焙煎コーヒーを、一階店ではオリジナルブレンドのネルドリップコーヒーを。ドーナツの登場は12時からなので、来店時間に注意!

loose kyoto

「カスタードドーナツ」350円、ラテ550円。ほかにプレーンなども。

清水坂に面したコーヒースタンドはドーナツが名物。通りからもよく見える場所に置かれたドイツ製のドーナツマシンで日に何度も揚げ、できたてを提供する。「コーヒーのお供にはドーナツだ、とピンと来たものの作るのは初めて。揚げたてを食べてほしくて、まずドーナツマシン探しからスタートしました」と店主の梅田考也さん。スタイル優先と思いきや、味の追求も徹底的に。

コーヒーは自家焙煎。中煎りのブレンドと、シングルオリジンを揃える。

「苦心したのは小麦粉の配合。揚げ油には米油を。時間が経っても油っぽくならないのは、生地に太白ごま油を加えているから」と、おいしさの理由を教えてくれた。人気が高じて百貨店からの熱烈オファーを受け、ポップアップショップを開いたほどだ。サイズは小ぶりで、甘さは控えめ。注文後にまぶされるきび糖や、カスタードクリームが甘味を添える。コーヒーとの相性はいうまでもない。

loose kyoto

住所:京都府京都市東山区清水4-163-6
TEL:なし
営業時間:9:00〜18:00
定休日:無休
席数:20席

2020年9月オープン。ドーナツは季節限定のトッピングもあるため、インスタグラムでチェックを。5個以上の購入で持ち帰りBOXが用意されている。プレーン1個250円。

photo_Kunihiro Fukumori text_Mako Yamato

No. 1229

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