ドイツ1部・フランクフルトの元日本代表MF長谷部誠(40)が17日夜、今季限りでの現役引退を発表した。日本代表では歴代最多となる81試合で主将を務め、10年の南アフリカから3大会連続でW杯に出場した。長谷部の藤枝東高時代の恩師で、現在は静岡県サッカー協会副会長を務める服部康雄さん(67)や、当時のチームメートに思い出を語ってもらった。

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 長谷部は藤枝市で生まれ育ち、名門・藤枝東高で活躍した。同校3年秋(2001年)の宮城国体では県選抜のトップ下で優勝に貢献した。それでも服部さんは「日本代表で主将を務め、ここまで活躍することはさすがに考えていなかった」と笑った。

 ひとつの転機として恩師は3年夏の全国高校総体を挙げる。2回戦では東福岡を、準々決勝では習志野、準決勝では鹿児島実を撃破しての準優勝。「自分のプレーが強いチームに通用したことが自信になったんだと思います」。並み居る強豪を倒した経験が、確かな糧になった。

 一緒にプレーしていた1学年下のメンバーも急成長を証言する。「最上級生になってからは絶対的な存在だった」とサイドバックを務めた小林公平さん(現藤枝東高監督)。ボランチを務め、J1磐田でも活躍した岡田隆さん(現磐田スポーツダイレクター補佐)も「長谷部さんにボールを預けたら、必ず得点に絡んでくれた」と懐かしそうに話した。GKだった清野雄大さん(現東海大静岡翔洋中監督)は「一緒にプレーしていたのは、夢のような時間だったと思います。誇らしいです」。

 日本代表として長らく主将も務めた郷土のヒーローの今後は未定だが、岡田さんは「世界のトップクラブの指導者になってほしい」と日本人初の偉業を期待する。服部さんは「最終的には本人が決めること。堅実に進んでほしい」と温かく見守る構えだ。(里見 祐司)

 J2清水MF乾貴士(フランクフルト、日本代表でともにプレー)「ドイツでは通訳もしてくれて、お兄ちゃん的な存在でした。W杯のときは本当に頼もしかった。ヨーロッパで指導者として頑張ってもらいたいなって思います」

 藤枝市役所サッカーのまち推進課・海野創さん(高校で1学年下のFW)「藤枝市や藤枝東高の名を広めて下さり、感謝の気持ちでいっぱいです」