◆プロボクシング ▽WBA、WBC、IBF、WBO世界スーパーバンタム級(55・3キロ以下)タイトルマッチ12回戦 4団体統一王者・井上尚弥―WBC1位ルイス・ネリ(5月6日、東京ドーム)

 世界4団体スーパーバンタム級統一王者・井上尚弥に挑戦するWBC同級1位のルイス・ネリが23日、都内で練習を公開した。井上について「バスケットボールにおける(神様)マイケル・ジョーダンではない」と過大評価を受けているとバッサリ。さらに「弱点をいくつか見つけた」と異名の「悪童」らしく強気な発言を繰り返した。34年前、東京ドームで無敗のマイク・タイソンを破ったジェームス・ダグラスのような番狂わせを狙う。

 上着からシューズまで全身黒色で固めたネリがシャドーボクシングの後、ミット打ちに入る。細かいジャブから突き上げるような激しい連打を何度も披露した。「体調は100%。MAX状態」と5か月間みっちり練習を積んで鍛え上げてきた状態面への自信を口にした。

 18年に山中慎介(帝拳)との世界戦前日計量では上限体重を2・3キロ超過した。だが、今回は厳重に体重管理し、試合まで約2週間のこの日、体重は127ポンド(約57・60キロ)。リミットまで約2・3キロと減量も順調だ。17年に行われた最初の山中戦後にはドーピング検査で陽性反応が問題となったが、これまで3度の抜き打ち検査では最新(20日前)も含め、いずれも陰性だったという。

 仕上げてきたネリは、口も強気だ。井上について「バスケットボールにおける(神様)マイケル・ジョーダンではない」と断言。「井上は過大評価されている。タパレスと11回(実際は10回)まで戦ったのがその証拠」と昨年12月の4団体統一戦のマーロン・タパレス(フィリピン)戦でKOが終盤だったことに因縁をつけた。

 さらに「弱点をいくつか見つけた。防御だけでなく、それ以外にもいくつかあります。それを(試合で)見てもらうことになる」とうそぶいた。番狂わせの自信について報道陣から問われると「みなさんが目撃するでしょう」と不敵に笑みを浮かべた。

 34年前、無敵だったタイソンがまさかの敗北を喫した東京ドームで26戦全勝のモンスターに立ち向かうネリ。タイソンの試合を映画で見て「倒れないと言われる選手でも倒れるということ」と再現に自信を見せる。

 日本では完全にヒール役のネリ。「(ファンは)人生で見たことのない試合を目撃する。血を見ることになる。私はリングで全てを出し、リングで死ぬ覚悟だ」と井上との一戦で、世紀の番狂わせを起こすために全身全霊を懸ける。(戸田 幸治)

 ◆ネリの発言

 ▽23年2月15日(日本時間16日) 「彼はみんなが思っているような怪物ではなく、倒すことができる選手だ」(米専門誌「リングマガジン」のインタビューで)。

 ▽24年4月9日(日本時間10日) 「彼の試合を見てきたが、過大評価されている。普通の平凡なファイターだ。パンチを打つときに隙ができる。そのときこそ私の出番だ」(米メディア「ボクシングシーン」のインタビューで)。

 ▽同21日 「井上より私の方が勝っている。クロフォードやデービスのように。彼がパウンド・フォー・パウンド(PFP、階級を超えた最強ランキング)で1位だとは思わない」(来日時に)。