◆東京六大学春季リーグ戦第4週第4日▽慶大3―2立大(8日・神宮)

 慶大が立大に競り勝ち、3つ目の勝ち点を挙げた。0―1の3回に4番・清原正吾一塁手(4年=慶応)が逆転の2点二塁打。5回に立大が追いついたが、8回2死一、二塁から7番・常松広太郎右翼手(3年=慶応湘南藤沢)の二塁打で勝ち越した。

 3回1死満塁の絶好機。初球の浮いたスライダーを清原が振り抜くと、打球は雨を切り裂きレフトの頭上を越えた。2人が生還し、一時逆転の二塁打。セカンドベース上で、観戦に訪れていた父・和博氏(56)に「やってやったぞ、見たか」とアピールした後に指さした先には、スタンドで応援しているチームメイトがいた。

 雨天により開始が遅れ、予定より11分遅く始まった第4戦。悪天候の中、第1戦で完封した慶大の先発・外丸東真投手(3年=前橋育英)が中3日で先発。2回に制球を乱し、1点を失った。反撃に出たのは1点ビハインドで迎えた3回裏。1死満塁で清原に打席が回ってきた。「球種を絞っているわけでもなく、とりあえず甘いゾーンに、自分の待っているゾーンにきたら打とうという意識で打ちました」。高めに浮いたスライダーをはじき返し「本当にあの場面でね、やっぱり非常にプレッシャーかかる場面だったと思うんですけど、よく打ってくれました」と堀井哲也監督(62)もたたえる一打になった。

 試合後の会見で、清原は「僕たち」「チーム」と繰り返した。「本当にチームが勝つためにやってきた。自分が打って負けても意味ない」と自己犠牲の姿勢を見せつつ勝利を喜んだ。スタンドで応援してくれるチームメイトを「かけがえのない存在」と表現し、「本当にベンチ外で応援してくれる人たちがいなかったら僕もここまで頑張れていないですし、その人たちにもありがとうという気持ちを込めて」スタンドの仲間を指さしたのだった。

 ここまで不動の4番として出場を続けている。「1番コンスタントにね、毎試合毎試合しっかりと打っている。清原の4番っていうのはここまでは外せない」と堀井監督が語れば、「4番としてプレッシャーっていうのは乗り越えていかなきゃいけない。楽しみながら打席に入っている」と本人も自覚十分だ。

 「立教戦が長引いて、本当にメンバーは体力がきつかったと思う。でもやっぱり、僕たちはどの大学よりも練習してきている自負はあるので、そこで負けん気と根性でみんな踏ん張った結果、僕としても、あの場面でタイムリーが打てて、結果的に勝ち点が取れ、本当にほっとしているし、メチャクチャうれしい気持ちです」と全員でつかみ取った1勝をかみしめた。4戦目までもつれ、やっと手に入れた3つ目の勝ち点。勝率とともに、トップの早大に並んだ。次は18日から明大と戦う。連覇に向けて負けられない戦いが続く。(臼井 恭香)