●6人受け入れ態勢整う

 南砺平高は来年度入学者選抜から生徒の全国募集を開始する。22日、富山県庁で開かれた県教育委員会議で決まった。県立高で初の導入で、南砺市や地元住民の協力で下宿先を確保し、最大6人の県外生徒の受け入れ態勢が整った。7年連続となっている定員割れから脱するため、全国レベルの郷土芸能部、スキー部志望者を呼び込んで入学者の増加を目指す。

 南砺平高の全国募集を巡っては、2023年7月に南砺市から県教委に要望があった。同11月に同市や地元住民、学校関係者による準備会が設けられ、県外生徒の受け入れ先など協議を重ね、今年2月、県教委に計画書を提出した。入学試験の実施日や内容は今後協議する。

 県外生徒は平日を寮で過ごし、土日祝日や夏休み、冬休みなど長期休暇は平・上平地域の民家に下宿する。身元引受人は南砺市長となる。現時点で下宿先を3軒確保し、6人まで受け入れが可能で、引き続き協力者を募る。

  ●7年連続で定員割れ

 南砺平高は2018年度から7年連続で定員割れが続いており、今年度入試では定員30人に対して合格者は16人で欠員は14人となった。同校の寮は定員52人のところ、入寮者は29人にとどまっている。

 県教委の担当者は、南砺平高では合掌造り集落など日本の原風景が残る五箇山地域で、伝統文化や豊かな自然を生かした特色ある学習活動に取り組み、スキー部や郷土芸能部が全国レベルで活躍していると説明。「県外生徒に門戸を開くことに意義がある」と強調した。

 富山経済同友会代表幹事の牧田和樹委員は、「数年後、生徒の受け入れができない状況にならないように、永続的な実施に向けて後方支援を考えないといけない」と指摘した。

  ●「迅速判断に感謝」田中南砺市長 

 全国募集の決定について、田中幹夫南砺市長は「県教委の迅速な判断に感謝する。南砺平高には、郷土芸能部やスキー部と特色ある部活動があり、定員割れを防ぐためには、県外はもちろん県内への魅力宣伝も必要だと考えている」と語った。

 平地域づくり協議会の南田実会長は「地元には将来、南砺平高がなくなるかもしれないという危機感があり、活性化につなげてほしい」と期待した。