「BOSS」シリーズの野立信次郎を始めとする、ヒゲが似合う軽妙な"イケオジ"役を数多く演じてきた俳優・竹野内豊。彼が得意とする、型にはまらない自由な雰囲気をかもし出す役柄の1つとして人気を誇るのが、2021年にTVドラマ化され、2023年1月には劇場版も公開された爽快リーガルエンターテインメント「イチケイのカラス」の主人公・入間みちおだ。

竹野内豊が主演を務める「イチケイのカラス スペシャル」
竹野内豊が主演を務める「イチケイのカラス スペシャル」

(C)浅見理都/講談社/フジテレビジョン

浅見理都による人気コミックを映像化した本作は、東京地方裁判所第3支部第1刑事部、通称「イチケイ」を舞台に、伝家の宝刀"職権発動"(刑事訴訟法128条【検証】に基づき、事実発見のために必要な時は裁判所主体で検証を行うことができる)を駆使して事件に粘り強く向き合う、自由奔放で型破りなくせ者裁判官・入間みちおの活躍を描く人気作。映画版公開初日の翌日となる2023年1月14日に放送されたスペシャルドラマ「イチケイのカラス スペシャル」は、TVドラマ最終回で入間みちお(竹野内豊)がイチケイから異動になってから1年後の熊本が舞台の物語が展開する。

熊本地裁第2支部で精力的に裁判を行うみちおのもとに、ヤンキーグループの決闘の仲裁に入った青年・諏訪遙人(HiHi Jets・高橋優斗※「高」は正しくは「はしごだか」)が殴られ、意識不明の重体となった傷害事件が起訴される。加害者と推定された内田亘(嘉島陸)は全面的に罪状を認めており、執行猶予付きの判決で収束するかと思われた。しかし、調査を進める中で不審な点がいくつか見つかる。さらに、警察の取り調べの際には、内田は容疑を否認していたという。「なぜ、内田は証言を変えたのか?」疑問に思ったみちおは、職権発動して捜査を開始する。

(C)浅見理都/講談社/フジテレビジョン

一方、東京では、イチケイの部長裁判官である駒沢義男(小日向文世)が、"代理お家騒動裁判"と世間から注目を集める大企業・星積ホールディングスの社員同士の傷害事件を審議していた。みちおが担当する"熊本・ヤンキーの決闘"と、駒沢が担当する"東京・大企業の代理お家騒動"。一見、無関係に思われた両事件だったが、捜査が進む中で、ある接点が浮かび上がってくる...。

竹野内が演じる入間みちおは、絶対に冤罪を生むことの無いよう、自らの足で現場検証を行い、事件の真相を明らかにしていくという異端な刑事裁判官。ヒゲを生やし、服装はノーネクタイにベストスタイルというように、いつもカジュアルで緩い空気を纏い、とぼけた発言をすることもしばしば。お堅い裁判官のイメージとはほど遠いビジュアルと性格のみちおは、しがらみや偏見、先入観に一切とらわれない自由な観察眼と、徹底的に調べ上げる探究心を持ち、弁護士団や検察官たちの両方から恐れられている存在だ。そんなみちおを竹野内は、おでこを隠したふんわりパーマヘアやのんびりしたトーンでのセリフ回し、いつも微笑んでいるような表情といった要素で構築。本作の初登場シーンでも、自慢のふるさと納税限定品コレクションに囲まれながら、決して短くない裁判官人生の中で初となる決闘罪事件を受け持つことにワクワクしているのを、新たな同僚でもある熊本地裁第2支部・支部長の立石政子(ふせえり)に指摘される。その際に可愛らしくはしゃぐ竹野内の笑顔は必見だ。

一見すると不真面目そうなみちおだが、"職権発動"後の捜査中や、その先にある法廷での被告人とのやり取りではキレ者ぶりを発揮。それまでの柔和な雰囲気を封印し、神聖な法廷に向かう前に黒い法衣に身を包む瞬間にはどこか厳しさを漂わせるといった、メリハリのある演技でみちおのプロフェッショナルぶりを表現した。

黒木華、小日向文世、中村梅雀らレギュラーメンバーたちに加え、北村一輝、中村アン、堀田真由、吉沢悠、高橋優斗、宮世琉弥、渡邉美穂、戸塚純貴らの豪華ゲスト陣の出演も話題となったスペシャルドラマ。竹野内の緩やかな演技に癒されながら、丁寧に描かれていく奥深い人間ドラマを堪能してほしい。

文=中村実香

放送情報【スカパー!】

イチケイのカラス スペシャル
放送日時:2024年2月17日(土)19:00〜
チャンネル:映画・チャンネルNECO
※放送スケジュールは変更になる場合がございます

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