内藤剛志主演の人気シリーズ「警視庁・捜査一課長」は、内藤がノンキャリアにして400名の部下を指揮する叩き上げの捜査一課長・大岩純一を演じていることでお馴染み。2012年に「土曜ワイド劇場」の枠で放映された本作は2016年に連続ドラマ化、2022年にはシリーズ誕生10周年を迎えた。

捜査を進める和菓子(壇蜜)と大岩(内藤剛志)
捜査を進める和菓子(壇蜜)と大岩(内藤剛志)

©テレビ朝日・東映

そんな長い歴史の中、内藤が壇蜜と共演し、壇蜜が初めて刑事役にチャレンジしたのが「警視庁・捜査一課長 新作スペシャル4』だ。シリーズにはこれまでも数々の女性刑事が登場した。"大福"と呼ばれていた斉藤由貴、"最中"の安達祐実、"ババロア"の田中美佐子、"チョコ"の宮崎美子、"ようかん"の鈴木紗理奈などなど。スイーツ縛りがお約束のようになり、壇蜜が演じた努力を惜しまない刑事・運野和菓子(わかこ)が大岩から呼ばれるニックネームは"和菓子"。大岩と運野の繋がりも描かれ、隅田川を高速で走る屋形船に爆弾が仕掛けられているという通報から事件が展開していく。

■運を自ら手繰り寄せてきた刑事を壇蜜がクールに演じる

©テレビ朝日・東映

運野(壇蜜)は隅田川警察署に所属している刑事。屋形船の爆破を阻止すべく、SITや機動隊が出動する中、ひとりで漁船に乗って状況を冷静に分析。的確な支持で大岩(内藤)から「アイツは運がいいわけじゃない。運を手繰り寄せているんだ」と評価されている。屋形船に乗っていたのは商事会社の社長・鮎原和文(六平直政)とその秘書・池本奈月(谷村美月)。社長の姿が消え、遺体が東京の東から西へと横断し、奥多摩で発見されるという不可解な現象が起きる事件の謎を解明すべく、大岩は運野を捜査に加えるように部下に指示を送る。妖艶なパブリックイメージとは異なるシンプルなメイクとスーツ姿で刑事役に挑んだ壇蜜だが、知的でどこか影がある運野の方が素に近いのかもしれない。そう思わせられるのも役を自分のモノにしているからだろう。テクニックを使わず、自身の分析や疑問をストレートに相手にぶつける捜査方法や、地道な努力を怠らない姿勢が事件解明へと繋がっていく過程も見どころだ。

■運野を見守り、信頼する大岩。その絆も胸を打つヒューマンドラマ

"運"をテーマに描かれる本作では警察のみならず、事件に関係する人物たちがところどころで、"運"という言葉を口にする。運野のことを"和菓子"と呼び捨てにする大岩は、かつて悲劇に見舞われたことがある彼女を励まし、刑事として生きていくことを決意させた恩人。その過去があるからこそ、大岩は今の運野の活躍を"運を手繰り寄せた"と表現する。第2の被害者が発見され、事件の謎が徐々に
明らかになっていく中、証拠を見つけるために危険な現場に向かう運野の後ろ姿に言葉をかけるシーンでは大岩の表情、視線が自慢の娘を見守るようでもあり、2人の信頼関係を表現。"理想の上司"を体現している捜査一課長を演じる内藤の重みと温かさが感じられる台詞と佇まいが、本作でもドラマを締める重要なファクターとなっている。

文=山本弘子

放送情報【スカパー!】

警視庁・捜査一課長 新作スペシャル4
放送日時:3月27日(水) 10:55〜

放送チャンネル:テレ朝チャンネル1
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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