「#新潟のコメジルシ=新潟のいいところ」ってどんなところ?  「だから新潟!」と、新潟を選びたくなるいろんな理由を新潟の人たちに聞いてみました。

佐藤可奈子 さん
women farmers japan(株)代表 / 農業法人の代表しながら、もの書きしてます / 香川県出身 / 大学在学中に十日町市の中越地震復興ボランティアに参加。卒業年の2011年2月に集落に移住・就農。ForbesJAPAN「日本を元気にする88人」「世界を救う希望NEXT100」選出 / 3児母 / 著書:エッセイ集「きぼうしゅうらく」小説「マザージャーニー」/ 夫が淹れるコーヒーをこよなく愛し、それを飲みながら、車でオーディブル小説を聴くのが趣味!

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「これが私だ!」自分らしく生きるためには?

「これが私だ!」 彼女たちの目が輝いた瞬間だった。 「私って何者なんだろう」「私には名前があるのに、〇〇ちゃんのママ、嫁さん、とアイデンティティがなくなる」「自分らしく生きたい」「自分に時間の主導権がある暮らしがしたい…」 いろんな思いを、日々働き、暮らす中で思うことはあるだろう。 しかし、そんな悶々とした日々から、私自身が「これが私だ!」という気付きに出会ったのは、自身が代表をつとめる〈農業法人women farmers japan(株)(通称wofa:ウーファ)〉を運営する中でだった。

wofaは、新潟県十日町市で小さな農園を営み、さつまいもの生産・加工を行っている会社だ。しかし、それだけでなく、女性農家のコミュニティ運営も行なっている。 コミュニティ運営を行う中で、大事にしてることは、2つ。 1つ目は、「私」を主語にとり戻すこと。 2つ目は、再定義した「私」は「何者として、何をなすのか」を明確にし、価値観と行動が一致するよう、自分らしく生きるサポートすることだ。

自分の内側にあるものを言葉にできた女性たちの目は、ぐんぐん輝き、行動するようになり、そして自分が変われば、環境も変わっていくことを実感していった。 そこで湧き起こる言葉が「これが私だ!」だった。 そして、この活動の効果がすごく発揮できるのは、十日町という地域の特性もあるのかも知れない、と思うようになった。

女性が元気な地域は、地域も元気

地域に携わっていると、よくこんなことを聞く。 「女性が元気な地域は、元気だ」。 これは真実だと思う。 ただ、出産、子育て、介護などライフステージの変化や、それに伴うキャリアの変化によって、「自分らしい生き方ができていない」と悩みを抱える女性も多いだろう。そしてこれは、地方も都会も同じように思う。

だからこそ、変化や偏見を受けやすい女性がのびのび、自分らしくあれる場所こそ誰にとっても生きやすい場所ではないか? いやはや、そんな桃源郷はあるのか? そこで今回、実際に十日町に移住し、農業に従事する私自身の視点で「なぜ十日町は、自分らしく生きれる土壌があるのか?」をご紹介します。 ※今回は、風土が作る地域のあり方に着目しています。

豪雪地である十日町は、多様な生き方が受け入れられやすい。なぜなら…

十日町は1年の半分は雪に埋もれている。 (といっても、ピークは12月〜2月中旬ごろまで) そのため、雪に影響を受ける業種は、夏と冬で仕事が違うことが当たり前だ。 風土が、多様な働き方をする文化を生んでいる。 冬は県外へ出稼ぎに行ったという話はよく聞く。 今の農家さんたちも、夏は農業、冬はスキー場などの観光業や除雪、雪かきイベント、加工所等々、多様な働き方を当たり前に選んでいる。

これは「農家の冬の仕事がない」という課題と表裏一体だが、一方で、孤独に黙々働く農業と異なり、冬に異業種の人々と仕事に触れ、知見を広めたり、気分転換になっている、という人もいる。 まさに百姓。 いろんな仕事を組み合わせてもいい。 どんな働き方でも、君らしければいい。 自然体で、働き方・生き方を選んでいるような雰囲気が、現代の多様な働き方への懐の広さを感じる。 そんな空気感が、楽でいいな、と感じる。

豪雪地は助け合わなければ死ぬ地域だった。だから…

冬の雪はときに暴力的だ。 しかし除雪体制がしっかり整った十日町は、どんなに雪が降ろうが道路は綺麗だし、普通に毎日出勤するし、子どもたちは登校する。 厳しい気候と向き合ってきたからこそ、その対応力の底知れぬ凄さに感動さえ覚える。 そして、そんな環境がはぐくんだ人格とは、潔く、そして優しい。 そんな地域に昔から住む方が、こんな話をしてくれたことがあった。 「この地域は、助け合わないと死んでまう豪雪地だったから、支え合おう、助け合おう、という精神はあるかもね」。

なるほど。 「人が温かい」地域はたくさんあるだろうが、もしかしたら十日町は、それがより色濃いのかも知れない。 私自身にも移住してすぐ、先輩女性農家さんが声をかけてくださった。いろんなコミュニティに呼んでくれ、十日町の母として、家族のように、その方に本当にお世話になった。

それだけではない。 農業の師匠も、どこの馬の骨とも知れなかった私に、「農業が軌道に乗るまでは」と農地と農業機械をすべて無料で貸してくれ、つきっきりで指導してくれた。 お風呂がない分校に住んでいた私を、毎日のように、お風呂や晩御飯に呼んでくれた。

そんなおせっかいが合う人と合わない人はいるだろう。 ただ、当時独り身だった私にとっては、そしてまだ友人も親戚もいない中で農業をやる!と決め、一見無謀な挑戦中だった私にとっては、とても心の支えになった。 そんな安心感は、勇気を与えてくれる。 自分らしく生きるための「挑戦」をしたい人には、うってつけの場所だろう。

地域資源を生かして、多様な挑戦している女性が多い!だから…

女性が元気な地域は、元気だ、という話をした。 元気な地域である十日町は言わずもがな、女性起業家が多い地域だ。 それも、十日町にある資源を生かした事業で起業されている方が多い。 例えば、このサイトでも記事を執筆されている、〈妻有ビール株式会社〉の高木さんもそのひとりだ。 https://howtoniigata.jp/komepro/komejirushi/43181/ ほかにも狩猟・農家民宿を経営している方、 農家レストランを経営している方、 コワーキングスペースを運営している方、 カフェや割烹の経営もそうだし、 移住者、就農も多い。

街を歩けば、きっと多様な女性起業家に出会うだろう。 それは、挑戦している先輩が多いということで、ノウハウも蓄積しているということ。 そしてどの人も、とても自分らしく輝いている…! 先人者が多いということは、あなたの一歩も、きっとより踏み出しやすくなるだろう。 挑戦する環境はとても大事。 何か新しいチャレンジをしたい人、自分らしさを模索している人、ぜひそんな視点を持っていろんな地域を見てみるのもいいかもしれません。 そしてぜひ、そんな挑戦の土壌が整う十日町を訪れてみてはいかがでしょうか。


編集部コメント

自分らしい生き方ができる女性を増やそうと、日々活動されている佐藤さん。同じ女性としてとても尊敬します。また、「自分らしく生きる」ための土壌が整う十日町市から、実際にたくさんの輝く女性が輩出されていることにも勇気をもらえますね。まさに「女性が元気な地域」な、十日町市。今後も注目したい地域です!(齋藤)