適塩メニューを提供する飲食店などを対象とした茨城県の「いばらき美味(おい)しおスタイル指定店」が400店を突破した。県が推進する減塩運動の一環で、生活習慣病の予防につなげる。健康志向の高まりとともに指定店は拡大しており、県は「今後も指定店を増やし、県民の健康増進を目指したい」としている。

適塩料理を扱う店舗の指定は、県が2020年11月に始めた。飲食店のほかスーパー、弁当店が指定され、同年度は116店、21年度は303店、22年度は364店と年々拡大する。

4月までに、牛丼などを提供する「すき家」の県内61店が新たに加わり、指定店数は計422店まで増えた。同店は「健康的な食事の選択肢として多彩な商品を用意している。指定を機に周知につなげたい」と語る。

取り組みの度合いによって指定は3種類ある。内訳は、食塩相当量3グラム以下のメニューが1品以上ある「指定店」が308店、同店より該当メニューが多いなど積極的な取り組みをする「プラチナ指定店」が14店、減塩に取り組む「パートナー店」が100店。指定の種類によってロゴやのぼりを店に掲げることができ、県のホームページなどに掲載される。

指定を受けた各店は、さまざまな適塩メニューを提供する。水戸市内のレストランは香辛料を取り入れ、野菜の甘味と素材の歯応えを残し、満足感を得られるよう工夫。同県笠間市内の弁当店では、下ゆでした野菜をだし汁に漬けるなど、手間を加えて塩分を2グラム未満に抑える。

22年の県総合がん対策推進モニタリング調査では、茨城県成人の1日当たりの食塩摂取量は、目標量に比べて男性が3.4グラム多い10.9グラム、女性が2.4グラム多い8.9グラム。20年の年齢調整死亡率の全国順位で、脳血管疾患は男性がワースト4位、女性がワースト5位となり、脳梗塞や急性心筋梗塞も男女ともにワースト上位となっている。

適塩料理の推進が健康づくりにつながるとして、県は指定店拡大に向けて取り組みやすさをアピール。22年7月から管理栄養士がアドバイスする動画の配信を開始した。23年度からは、指定店のメニュー事例などを紹介する企業向けセミナーを開いている。

県健康推進課の担当者は「県民が健康でいられるよう、おいしく減塩できる取り組みを今後も推進したい」と話す。