■中小企業で高い自営型への期待

 つぎに中小企業(従業員300人以下)の経営者に対し、「貴社の正社員(正職員)に対し取り入れられる可能性が高い働き方は、つぎのうちどれですか?」と質問した。回答は、「ジョブ型」が43・8%、「自営型」が33・8%だった(図4-2)。


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 このように人事担当者の多くは、現時点で「ジョブ型」の導入を意識しているいっぽう、「自営型」の導入は考えていない。それに対して中小企業の経営者には「ジョブ型」に比べさほど遜色がないほど「自営型」導入の可能性を考えている人が多いことがわかる。中小企業は日本企業全体の九九・七%、従業員数もおよそ七割を占めるだけに軽視できない事実である。

 では、どのような職種に導入の可能性があると考えているのか。

「自営型」導入の可能性が高いと回答した経営者に、具体的な職種をあげてもらった。その結果、「営業・マーケティング」が五四・五%と突出して多く、「販売・配達」、「企画・広報」、「研究開発」、「財務・経理」をあげる経営者も一割以上いた(図4-3)。


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 ただ現場の実態としては、中小企業でも規模が小さくなるほど、総務と人事・経理、営業・マーケティングと販売、開発と技術というように一人で複数の仕事を受け持つケースが多い。その意味では、「よろず屋」的な自営型といえるかもしれない。

 こうしてみると、現に「自営型」を取り入れようとしている企業は多くないものの、中小企業を中心に今後導入される可能性はかなり高いことがうかがえる。

<連載ラインアップ>
■第1回 「侍ジャパン」はメンバーシップ型でもジョブ型でもなく、何型だったか?(本稿)
■第2回 “ジャパンアズナンバーワン”再来? 「自営型」が日本になじみやすい理由
■第3回 ウェブ調査で判明、中小企業経営者の「自営型」導入への期待とその役割とは?(本稿)
■第4回 建設業や営業職で実証、なぜ「一気通貫制」で生産性が上がるのか?
■第5回 キヤノン、オリンパスの生産性を上げた「一人生産」方式は、どう進化したか?
■第6回 欧米企業幹部の働き方は、なぜ「ジョブ型」でなく「自営型」に近いといえるか

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(太田 肇)