高級シャンパンの分野では、ルイナールが「セカンドスキン」という100%リサイクル可能な紙のギフトパッケージで革新に打って出た。1772年創業の老舗シャンパーニュメゾンのヴーヴ・クリコも、フランスのレインウェアブランドの「ケーウェイ(KWAY)」とタッグを組んでカラフルな保冷ジャケットを発売した。この保冷ジャケットには、ケーウェイのトレードマークとして知られる防水性の高いファスナーが使用されており、再利用することでサステナビリティが実践できる画期的な取り組みである。

●テキスタイルと革

 近年の研究により、顔料生成にバクテリアを用いる「バクテリア染色」という染色手法によって一部の化学薬品の使用が抑えられることが証明されている。

■サステナブルレザーの実現に向けて

 ラグジュアリー業界は、革の使用について不当な批判にさらされ続けてきた。たとえば牛革は、食肉加工過程の「副産物」である。動物は、革目的で処理されるわけではないのだ。そのうえ、ラグジュアリーブランドが定める厳しい品質基準をクリアするには、動物は誕生からその命を終えるまで、大切に扱われなければならない。

 実際、ファッションブランドやレザーグッズを扱うブランドは、さまざまな専門機関と協力しながら動物の苦しみを削減しようとしている。その一つが、ミンクやキツネなどを飼育する欧州の毛皮工場のアニマルウェルフェア(動物福祉)への取り組みをチェックするプログラム、「ウェルファー(WelFur)」である。

 また、スポーツウェアの分野では、「マイセリウム」というキノコの菌糸体からつくられた代替レザー素材が使用されている。デザイナーのステラ・マッカートニーは米バイオテクノロジー企業のボルトスレッズと連携し、サステナブルな素材を使ったアパレルラインを開発した。これはきわめて大胆な決断といえる。マッカートニーのブランドは創設当初からコレクションにおける動物の皮革と毛皮の使用を禁止し、リサイクルポリエステルや代替ファー素材などを使用してきた。グッチは、革に代わるサステナブルな新素材として開発された「デメトラ」を開発した。デメトラは、植物由来の原料から製造される100%ヴィーガンな素材である。