厚生労働省は3月15日、2024年度介護報酬改定に関する告示や通知、Q&Aなどをホームページ上で公表した。処遇改善関連加算の一本化については説明動画を公開し、各種の経過措置などを詳細に解説。経過処置終了後の25年4月からの新加算算定に向け、計画的に準備を進めるよう要請した。

 24年度介護報酬改定では、現行の「介護職員処遇改善加算」、「介護職員等特定処遇改善加算」、「介護職員等ベースアップ等支援加算」を新設の「介護職員等処遇改善加算(I)〜(IV)」に一本化。その際、介護職員の賃上げ対応として加算率の引き上げも併せて行う(24年6月施行)。

 新加算を算定するには、キャリアパス・月額賃金改善・職場環境等の各要件を満たさなければならない。ただし、24年5月末時点で旧3加算のいずれかを算定している事業所で6月からの新加算への移行が難しい場合は、25年3月末までの間に限り、経過的区分の「新加算(V)」を算定できる激変緩和措置を設ける。(V)の加算率は、旧3加算の加算率に改定による引き上げ相当分を上乗せした値に設定されており、対象事業所は旧3加算の算定状況に応じて14種類ある算定区分の中から該当区分を選択する。

■キャリアパス要件I〜IIIは24年度内の対応の誓約で充足可能

 各要件においても新加算への円滑な移行を促すための様々な措置が講じられる。例えば、

 キャリアパス要件のうち、要件I(任用要件・賃金体系)、同II(研修の実施等)、同III(昇給の仕組み)に関しては、24年度内の対応を誓約すれば24年6月からの新加算の算定が可能(24年度限定の措置)。月額賃金改善要件では、新加算(VI)相当の加算額の1/2以上を基本給等の改善に充てることを求める要件Iの適用を25年3月末までの間は猶予する。

 また24年4月には、①「特定処遇改善加算」における職種グループごとの配分ルールを廃止し、加算全体を事業所内で柔軟に配分することを可能にする、②誓約のみで加算算定を可能とするキャリアパス要件I〜IIIの特例を24年4〜5月に旧3加算を算定する際にも適用する―との見直しを実施。厚労省は、これまでキャリアパス要件や職場間配分ルールがネックだった事業所は、これらの見直しを活用して4〜5月のうちに上位区分への移行や「特定処遇改善加算」を取得しておくことで、6月以降の新加算の算定がスムーズになると説明した。