6月10〜11日に控える世界耐久選手権(WEC)第4戦ル・マン24時間レース。ハイパーカークラスに参戦しているプジョー・スポーツは、それに向けて『9X8』のパフォーマンスを高めることよりも信頼性の向上に重点を置いている。

 2022年でモンツァ戦にデビューして以降、プジョー9X8には信頼性トラブルが多発。今季の開幕戦バーレーンでも、2台ともがトラブルに見舞われた。

 第2戦ポルティマオと第3戦スパでは、比較的クリーンなレースを送ることができたものの、9X8プロジェクトのテクニカルディレクターを務めるオリビエ・ジャンソニーは、今年で100周年となる記念すべきル・マンへ向けて、信頼性を高めるという方針に変わりはないと主張している。

「信頼性の向上は、現在最も重要な課題だ」とジャンソニーは言う。

「今年設定した明確なロードマップでは、信頼性の向上に務めるというのが目標だった」

「ル・マンで可能なことを実現しようという、その考えは変わらない」

 またジャンソニーは、マシンの信頼性が充分に担保できるようになって初めて、ウイングレスという前衛的なマシンのパフォーマンスを最大限に引き出すことができると考えている。

「もっとマシンを走らせることができれば、まだまだ隠されたポテンシャルを引き出せる」と彼は言う。

「マシンを改善する方法については、我々は明確な道筋がある。ただ上げ幅が100分の1秒なのか、10分の1秒なのか、まだ判断はつかない」

 そして、ジャンソニーはル・マンを前に9X8の信頼性に関して100%自信を持つことはできないとしている。

「我々は、100%の自信があると言うまでには至っていない」と彼は言う。

「ル・マンは確かに難しいレースだ。ただ、3〜4ヵ月前の状況を振り返ってみると、かなり改善されている」

 プジョーは、セブリング戦とポルティマオ戦の間に4度目の耐久テストを実施。第3戦スパがル・マンへ向けた最後の実地試験となった。

 第2戦に向けて、プジョーは開幕戦で発生した電動シフトアクチュエーターの不具合を解消したものの、ポルティマオでは2台のうち1台がスタート前にステアリングラックの交換が遅れ、もう1台にはシリーズで義務付けられているドライブシャフトのトルクセンサーのトラブルに見舞われた。

 結果ポルティマオ戦では、94号車9X8が優勝したトヨタから2周遅れの5位、僚機93号車が5周遅れの7位でチェッカーを受けた。

 スパ戦でプジョー勢に目立った遅れはなく、給油リグ周りの電気センサーとアクシデントのダメージにより多少のタイムロスがあっただけだった。

 しかし93号車が13位、94号車が17位とLMP2クラス上位にも後れを取り、再びトップから2〜3周遅れでのフィニッシュとなっていた。