”変わらないはず”だった性能調整がル・マン公式テストを前に変更。トヨタGR010は最低重量が36kg増加
最も重くなったのは、今季のWEC(FIA世界耐久選手権)の開幕3戦で勝利しているトヨタのGR010ハイブリッドで、ポルティマオやスパと比べて37kgもの増加となっている。一方、ポルシェ963はわずか3kgの増加に留まった。
今季から導入されたBoPの新しいシステムでは、ル・マンまでの開幕4戦までのBoPを固定。LMH車両とLMDh車両の勢力均衡を図る、プラットフォームBoPの変更のみが認められていた。個々のマシンのBoPを変更するのは、ル・マン以降にのみ可能とされていたのだ。
BoPを規定する文書がまだ非公開であるため、変更がいつ有効になるかをめぐって混乱が生じたが、ル・マンを前にBoPを変更することについて、ハイパーカークラスに参加するメーカーの間で合意があったようだ。
今回の変更はLMH車両とLMDh車両のバランスだけを調整しているわけではなく、トヨタGR010が前述のように37kgの増加となっているのに対し、同じLMH車両のフェラーリ499Pは24kg増と調整内容も異なっている。トヨタとフェラーリに次ぐ速さを見せているキャデラックのVシリーズ.Rは、11kg増となっている。
トヨタやフェラーリと同じハイブリッドのLMH車両であるプジョー9X8や、ハイブリッド非搭載のLMH車両であるグリッケンハウス007、ヴァンウォール・バンダーベル680は調整されていない。
トヨタ、フェラーリ、キャデラックについては重量が増えることもあって、1スティントで使用できるエネルギー量も増加。トヨタGR010は4MJ、フェラーリ499Pは2MJ、キャデラックVシリーズ.Rは1MJの増加となっている。
WECが新しいBoPを発表したことについて、ルールメイカーのFIAとACO(フランス西部自動車クラブ)は何の説明もしておらず、テストと翌週の予選・決勝の間でさらなるBoP変更が可能かどうかも不明となっている。