ポルシェ、ル・マン24時間レースに向けて963の大幅改善に自信。トヨタやフェラーリなどへの性能調整も追い風に?
6月4日(日)のル・マン公式テストでは、午前午後の両セッションで963がトップ3に入り、プロジェクトリーダーであるウルス・クラトレは「満足できるモノだった」と評価していた。
WECとしてはこのテストデーが4月末の第3戦スパ6時間以来のセッションとなったが、IMSAでは先月ラグナセカ戦が行なわれ、ポルシェのワークスLMDhチームであるポルシェ・ペンスキー・モータースポーツは、その間にモンツァ、ポール・リカール、ワトキンスグレンでテストを実施してきた。
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「これらのテストとアメリカでの1レースを通じて、我々は大きな進歩を遂げた」
クラトレはmotorsport.comに対してしそう語る。
「多くを学べたし、テストの合間には7ポストリグ(シミュレーター)にも載せている」
963はこれまでブレーキング時の安定性に苦労してきており、グリップが低い状況ではその問題が悪化していた。
クラトレは、WECスパ戦以降「この問題に関して、大きく改善された」と説明している。
「ドライバーはそう言ってくれると思うが、完全に解決したとは言えない。まだ我々の最大の問題だが、改善はしている」
「難所が過ぎたことを願っている。ただ、週が明けてみるまで分からないよ」
ル・マンの公式テストに先立ち、WECでは新たな性能調整(BoP)が発表され、ハイパーカークラスの最低重量に変更が施された。
WEC開幕で開幕3連勝中のトヨタのル・マン・ハイパーカー(LMH)『GR010ハイブリッド』は過去2戦と比べて37kg増。開幕から光る速さを時折見せるフェラーリのLMH『499P』が24kg増となっている。
LMDh勢では、安定してトヨタ、フェラーリに次ぐポジションを走ることの多いキャデラック『Vシリーズ.R』が11kgの増加。その一方でポルシェの963はわずか3kg増。苦戦するプジョー『9X8』ら他のLMH勢には調整が施されなかった。
ただ、この変更は突然のことだった。今季のBoPシステムではル・マンまでの4戦はBoPが固定され、その間に唯一可能だったのはLMH勢とLMDh勢の勢力均衡を図る”プラットフォームBoP”の変更のみとされていたためだ。
そうした性能調整の追い風もあり、ル・マンのテストデーでポルシェのローレンス・バントゥールは6号車963をタイムシート2番手まで押し上げた。
「全体としていい感じだが、まだやるべきことがある」とバントゥールは言う。
「まだ改善していく必要のあることが残っているんだ」
「自分の名前がタイミングスクリーン上位に表示されるのはポジティブなことだし、チームのみんなの士気についても間違いなく良いことだ」
バントゥールが記録した3分29秒648秒という2番手タイムは、51号車のフェラーリ『499P』でアントニオ・ジョビナッツィがテストで記録した最速タイムの3分29秒504から0.144秒落ちというもの。ただ、バントゥールは3分29秒648というタイムも記録しており、この周にテルトルルージュでのトラックリミット違反がなければ、この日のベストタイムとなるところだった。
また、テストデーの午前にはポルシェのカスタマーチームであるJOTAのイェ・イフェイがセッション3番手となる3分31秒447を記録するなど、テストでは好調な走りを見せた。