日本人で唯一の現役F1ドライバーである角田裕毅についてビザ・キャッシュアップRBのローレン・メキーズ代表は、成長を認めた上で“エキサイティングな”伸びしろが残されていると考えている。

 角田はRBの前身スクーデリア・アルファタウリ時代の2021年にF1デビューを果たし、2シーズンに渡ってコンビを組んだピエール・ガスリー(現アルピーヌ)から多くを吸収。2023年シーズンはチームメイトがコロコロと入れ替わる中でもチームのエースとして開幕から入賞争いに加わる活躍を見せ、F1参戦4年目となる今年は2022年以来のF1フル参戦となるダニエル・リカルドを迎えた。

 角田はシーズン開幕戦バーレーンGPの予選で11番手、第2戦サウジアラビアGPの予選で9番手を獲得。どちらも決勝でポイント獲得に繋げることができていないが、少なくとも1発のペースではリカルドを上回った。

 他の多くのドライバーと同様に、角田は2024年シーズン末に現在の契約が満了を迎える。新レギュレーションの到来も近い2025年以降に向けて、角田の今後にとっても今年は重要な1年となる。

 RBのメキーズ代表は角田にさらなるポテンシャルがあると考えており、成長次第では“エキサイティングなレベル”になると語った。

「F1に来て以来、彼はシーズンごとに大人への大きな一歩を踏み出してきた」

 バーレーンの地でメキーズ代表はそう語った。

「このまま一歩一歩進んでいけば、彼はエキサイティングなレベルに到達すると私は思っている」

「チームは常に彼に自信を与え、手厚くサポートし、チームにもどんどん馴染んで年々成長してきた。ダニエルとのコンビは良いと思うし、彼らが共にベストパフォーマンスを発揮しているかどうかを評価することが必要になるだろう」

 一方でリカルドに対しては次のような評価をメキーズ代表は下した。

「彼はモチベーションが高く集中していると思う。技術的に非常に高い基準で仕事をしてくれるドライバーを再発見したよ。彼の速さ以上に、彼はチームに多くの付加価値をもたらしてくれる」

「それから、とても満足げで笑顔のダニエルが見られて嬉しいね」

 現時点では2025年のレッドブル・レーシングの1席は確定しておらず、セルジオ・ペレスがチーム首脳陣のお眼鏡に叶う結果を残せない場合は、角田とリカルドが後任の最有力候補となる。

 角田とリカルドのどちらが引き抜かれるにせよ、RBとしてはドライバーをひとり失うこととなるが、2024年からチーム体制が大きく刷新されたとしても、状況に応じて良質なドライバーをレッドブル・レーシングに送り込むという旧来の“DNA”は変わらないとメキーズ代表は語った。

「それはゲームの一部だ」とメキーズ代表は言う。

「ダニエルとユウキの組み合わせは我々のチームにとって理想的だが、レッドブルがドライバーを必要とした時に供給できるよう準備しておくことが、我々のプロジェクトの目的のひとつであることは承知している」

「それはこのチームのDNAの一部であり、これまでもそうだった。そしてもちろん、我々は自分たちのパフォーマンスを向上させることも目指しているが、我々の任務にはそれ以上のモノがあると分かっている」