今年から春開催となるF1日本GP。鈴鹿サーキットを運営するホンダモビリティランドの斎藤毅社長は、昨年の開催から時間がない中で大変ではあるものの、今年の開催に向けて準備は順調に進んでいると語った。

 1987年の初開催以来、鈴鹿サーキットでのF1日本GPは、9〜11月と秋シーズンに開催されることが常だった。しかし今季からは、春開催に変更。F1は、他のアジア地域のグランプリと近い時期に日本GPを開催することで、チームなどの移動距離を減らし、CO2排出量を削減しようとしているのだ。

「準備は順調に来ていると思います。ただ、春開催は初めてだし、昨年から考えると半年しか準備期間がありません。そういう意味で言えば初めてづくしです。対応を変えなければいけないこともあるので、ひとつひとつ丁寧に、確認をとりながら進めている状況です」

 4月上旬と言えば、日本では入学式や入社式が行なわれる年度はじめ。忙しい時期であり、現地での観戦を見送らねばならないという人も少なくないかもしれない。そんな中でも日本GPに来たくなるような魅力を伝えていくと、斎藤社長は言う。

「厳しい時期であるのは確かだと思います。特に今年は、4月の第1週目ですからね。その中でも、F1の魅力を伝えていきながら、できるだけ多くの日本のお客様にきていただけるよう努力していきたいと思っています」

「この時期の開催となった理由は、F1としてCO2排出量を削減することを目的に地域ごとに開催時期をまとめることになったからです。それは、我々の会社の方針と合致しています。今回のF1側の考え方を踏まえれば来季以降も開催時期は大きくは変わらないものと考えています。ただ、細かい日程をどうするかということについてはF1としても検討の余地があると聞いていますので、今後議論していきたいと思います」

 昨年の日本GP開催直前には、新宿の歌舞伎町でF1 Tokyo Festivalを開催し、多くの人が会場を訪れた。今年は舞台を六本木に移し、2日間に規模を拡大して、再びF1 Tokyo Festivalが開催されることになる。

 このイベントは、F1も高く評価したようだ。

「昨年は合計で1万5000人ものお客様にお越しいただきました。ステージ前のエリアには、朝から熱心なファンの方々に並んでいただきました。イベントそのものを楽しんでいただけたと思います」

「ドメニカリさん(ステファノ・ドメニカリCEO)も出演してくださいました。彼からは、世界の色々なイベントを見ているけど、素晴らしいという評価をいただくことができました」

 そう斎藤社長は明かす。

「ただ、すぐに効果が出るとは思っていません。ファン作りをしていくというのは、中長期的には大事なことだと考えています。その視点では、F1 Tokyo Festivalを見ていただいて、F1の魅力を少しでも感じてくれる方がひとりでもふたりでも増えてくれればと思っています」

「そういう意味では、昨年の歌舞伎町での盛り上がりは、非常に効果があったと思っています。今年のF1 Tokyo Festivalは六本木での開催になりますが、ぜひ実際に会場まで来ていただき、F1の魅力を感じてもらえたらと思います」

「イベントのスペースは限られてしまいますが、通りかかった方にも立ち寄っていただけると思います。また六本木には外国の方も多いですから、インバウンドでお越しになった方へのPR強化という点でも期待しています」

 斎藤社長は今年のF1日本GPについて、次のように意気込みを語った。

「秋開催とはまた違う、シーズン序盤のまだ勢力図が定まっていない中でもエキサイティングなレース展開を楽しんでいただけると思います。ぜひ鈴鹿サーキットに来ていただいて、その醍醐味を味わっていただきたいと思います」

「レース自体ももちろんですが、イベントも色々と取り揃えていますので、そういうモノも含めて、全体で楽しんでいただけるように我々も頑張ります」

 初の春開催となる2024年F1日本GPの決勝は4月7日(日)。観戦チケットは絶賛発売中だ。