ウエットコンディションの下で行なわれたF1日本GPのフリー走行2回目では、RBの2台を除いてほとんどのマシンが走行せず、路面が乾いた終盤に追加で数台がドライタイヤを履いてコースインするにとどまった。こういったやや寂しいセッションとなった背景には、今季からのレギュレーション変更も影響していた。

「あのセッションを走れなかったことは残念だ。タイヤのルールが変わったので、誰もインターミディエイトで走らないんだ。合理的なルールには思えないけど、その中でやるしかないんだ」

 セッション後にそう語ったのは、メルセデスのルイス・ハミルトン。彼が言うように、ウエットタイヤの使用に関するレギュレーションが今シーズンから変更されている。

 昨年までは、各ドライバーはレースウィーク中にインターミディエイトタイヤを4セット、ウエットタイヤを3セット使うことができた。しかし今季開幕前の時点でレギュレーションが変わったことで、現在はインターミディエイトタイヤ5セット、ウエットタイヤ2セットが使えるという形に変わった。

 しかしこのルールが合意されるにあたり、金曜日にウエットタイヤを1セット“タダ”で使えるというルールが撤廃されたため、ハミルトンが指摘するように、FP2で走行するマシンが減ってしまった。

 昨年までは、スプリントレースが実施されない大会では、金曜のFP1もしくはFP2でウエット宣言が出された場合、そこでインターミディエイトタイヤを使用したドライバーは、そのインターミディエイトタイヤを予選までに返却しなければならないものの、追加で新品のインターミディエイトタイヤ1セットが供給されることになっていた。つまり各ドライバーは金曜に、本数制限に縛られないインターミディエイトタイヤを使うことができていたのだ。

 しかし現在のルールの下では、元々供給されるインターミディエイトタイヤのセット数は増えたものの、FP1やFP2が雨となった場合にタイヤの追加がない。そのため予選や決勝が雨になることを見越してタイヤを温存した方が良いと考えるチームが多数派であった……それが日本GPのFP2で多くのマシンが走らないという状況に繋がったわけだ。

 ピレリのチーフエンジニアであるシモーネ・ベッラは、このルール変更はピレリに対しては何の影響もない上に、日本GPのFP2での走行台数の少なさに影響を与えたことは明らかだと語った。

「これ(ルール変更)は全チームがFIAとF1と共に投票して決まったものだ」

「今では各チームがフリー走行で使ったインターミディエイトを返却する必要はない。しかも今回のようにデグラデーションの大きいサーキットで、日曜に雨の降る可能性が高い状況では、多くのチームが(インターミディエイト)5セットを未使用のままにすることを決めた」

「プラクティスでマシンを走らせる方法を見出すためにFIAやチームとさらに話し合うことになるだろう。最終的には我々が決めることではないが、今後の議論のテーマになるだろう」

 またベッラは現在の規則の改善案として、単に各チームがウエット宣言が出されたセッションの後にインターミディエイトタイヤを1セット返却するように義務付ければ良いだけだと考えている。