2017年からF1の商業権を所有しているリバティメディアは4月初め、ドルナスポーツからMotoGPの株式86%を42億ユーロ(約6853億円)で取得したと発表。4輪の世界最高峰シリーズと2輪の世界最高峰シリーズ両方のオーナーシップを所有することとなった。

 ドルナ・スポーツのディレクターであるカルロス・エスペレータは、将来的にF1とMotoGPを同時開催する可能性を「排除していない」と述べ、ルイス・ハミルトン(メルセデス)も実現できたら「壮大だ」と考えている。

 ハミルトンはかねてよりバイクへの愛を示しており、MotoGPのレジェンドであるバレンティーノ・ロッシとマシンを交換してサーキットを走ったこともある。

 鈴鹿サーキットで行なわれた日本GPで、motorsport.comはハミルトンに対して、F1とMotoGPの共同開催を歓迎するかどうか尋ねると、彼は次のように答えた。

「あまり深く考えたことはなかったけど、見出しは読んだよ」

「リバティはF1で素晴らしい仕事をしてきたと思う。スポーツの価値を考えれば明らかだよね。だから彼らはMotoGPでも素晴らしい仕事をしてくれると思う」

「僕はMotoGPが大好きだからエキサイティングだ。同じ週末に開催できたら壮大だろうね」

 またハミルトンは「実現不可能だ」と前置きをしつつ、「同じ週末ならMotoGPのレースとF1のレースに出場できるかもしれない! そうなったら本当にクールだね」とジョークを飛ばした。

 ただ、F1とMotoGPの共同開催というアイデアは短期的には実現しないと理解されており、F1の新しい市街地サーキットではなく、MotoGPアメリカズGPが開催されているサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)のような、既にこの2カテゴリーを開催している会場でのみ実現可能だろう。

 そして、冗談とはいえMotoGPへ関心を示したハミルトンも、“本業”であるF1での将来に集中している。

 ハミルトンは2024年末でメルセデスを離れ、翌年からフェラーリへと移籍する。日本GPの際には、勝利から遠ざかるメルセデスが直面する課題から、F1から離れたところにある自身の興味の方が今は重要なのかという質問が飛んだ。

 しかしハミルトンは「夜も眠れないほど」メルセデスでの戦いに集中しており、2025年にフェラーリへ移籍する前にレース勝利を手にすることを目指していると言う。

「難しい時期にくよくよしていても、結局道はひとつしかないんだ」とハミルトンは語った。

「気持ちを切り離してリセットし、自分の集中力や今後の目標を立て直すのは本当に良いことだと思う。他にもいくつかあるけどね」

「でも、やっぱり夜も眠れないのは『いつになったらまた優勝争いができるんだろう?』ということだ」

「何か違うことができるんだろうか? 予選ではどうすれば良いのか? どうすればチームにもっと貢献できるのか? どんなセットアップにすれば良いのか?」

「そういうことが、今も僕を突き動かしているんだ。でもひとつのチームとして、勝つ時も負ける時も一緒だ。僕らはとても団結しているし、みんな信じられないほどハードに働いている」