F1第3戦オーストラリアGPで7位に入賞し、続く日本GPでも10位入賞を果たすなど、好調を維持している角田裕毅(RB)。そんな角田が、自身が心がけている感情のコントロールについて語った。

 2021年にアルファタウリ(現RB)からF1デビューを果たし、現在は4シーズン目を迎える角田。角田と言えば、無線で怒りの感情を爆発させるようなシーンが多く、それが一部ファンから好評を博す一方で、一部からは感情のコントロールが課題だと指摘されることもあった。また、チームオーダーによりチームメイトのダニエル・リカルドを前に行かせることになった今季開幕戦バーレーンGPでは、その判断に納得がいかず、クールダウンラップ中にリカルドにオーバーテイクを仕掛けたことも賛否を呼んだ。

 しかしながら、ここ数戦の角田の無線は落ち着いているように感じられる。第2戦サウジアラビアGPでは、コース外からオーバーテイクしてきたケビン・マグヌッセン(ハース)に終始前を抑えられるストレスの溜まるレースとなったが、それでも角田が無線で激昂するようなシーンは見られなかった。

 こういった感情のコントロールに関しては、やはり角田としても意識的に行なっているという。慣れない振る舞いにストレスを感じることもあるようだが、奇しくもサウジアラビア以降の3レースでは全て予選Q3に進み、オーストラリアと日本ではポイントも獲得した。そのため本人としても現状をポジティブに受け取っているという。

「バーレーンの時からは、おそらく大部分が改善したと思います」と角田は言う。

「叫ばないようにしたり、出来るだけ冷静さを保つことのメリットを完全には感じられていませんでした。そこに慣れるのにはかなりエネルギーを消耗するからです。ただ、例えばサウジアラビアで前のマシンに引っかかった時、いつもなら僕は無線で叫んだりしていたと思いますが、そうではなく文字通り口を閉じることにしました」

「かなり神経を使いましたが、そういう方向に改善しようとしてからの3レースは結果がついてきました。だからこれは良い方法であり、ポジティブなものなんだと思います」

 今季のF1はトップ5チームと中団5チームの差が顕著であり、予選や決勝でトップ10に入ることは至難の業。その中で角田は4戦中3回のQ3進出(中団勢最多)、そして2回の入賞を記録するなど、活躍を見せている。

 昨シーズンはマシンの大型アップデートが入るまでは戦闘力が低く、入賞争いに全く絡めないレースも続いたが、入賞争いに絡めるようになった今は精神的にも楽になったのではないかと問われた角田は、それほど変化はないと述べた。

「少なくとも自分としては正直そこまで変わりません。どのレースウィークもチャレンジングで、ここ(中国)のように自分にとって初めてのコースがあったり、ベテランのドライバーと比べるとルーキーのような気持ちで臨まないといけない時もあります」

「僕はとにかく毎回静かに準備をして、たとえ良いレースをしたとしても、毎回自分自身をリセットしています。モータースポーツの世界では何が起きるか分かりませんから……」