MotoGP第5戦フランスGPの決勝レースがブガッティ・サーキットで行なわれた。優勝はプラマックのホルヘ・マルティンだった。

 フランスGPの決勝日は天候悪化の可能性も予想されていた。ただ幸い天気は崩れず、上空に雲がかかりつつも、晴れ間の見えるコンディションでスタート時刻を迎えた。気温は21度、路面温度は31度だ。

 予選ではマルティンがポールポジションを獲得。2番手にフランチェスコ・バニャイヤ(ドゥカティ)、3番手にマーベリック・ビニャーレス(アプリリア)が続いた。スプリントレースでは大きくポジションを上げて2位となったマルク・マルケス(グレシーニ)は13番手からのスタートだ。

 全27周で争われる決勝でまず先頭に立ったのは、好スタートを切ったバニャイヤ。最初のシケインではビニャーレスがコースカットしてしまう場面はあったが、大きな混乱無くレースが始まった。

 1周目を終えた段階のオーダーはバニャイヤ、マルティン、そして3番手にアレイシ・エスパルガロ(アプリリア)。スプリントレースではスタートでジャンプアップしたマルケスは、8番手で前を追った。

 今季のルーキー、ペドロ・アコスタ(GASGAS)も順位を上げて5番手を走行。前のファビオ・ディ・ジャンアントニオ(VR46)を狙ったが、3周目のターン8で転倒してしまい、アコスタはリタイアとなった。

 また2023年のフランスGP勝者であるマルコ・ベッツェッキ(VR46)も4周目に転倒。ベッツェッキはスプリントレースから連続での転倒リタイアとなった。

 トップ争いはバニャイヤが快調に走り、すぐ後ろにつけるマルティンもなかなかオーバーテイクは狙いに行かない。6番手のマルケスまでがトップ集団となり、各々がタイミングを伺っている状況だった。

 表彰台圏内の3番手争いではエスパルガロが8周目に若干ラインを膨らませてしまう場面があり、ディ・ジャンアントニオにポジションを奪われてしまった。ただ返す刀でエスパルガロは抜き返し、3番手を簡単には譲らなかった。

 しかし10周目にはエスパルガロがディ・ジャンアントニオを抑えきれなくなり、3番手が入れ替わった。エスパルガロはこの次の周にはチームメイトのビニャーレス、そしてマルケスに続けざまに追い抜かれ、6番手までポジションを下げた。

 先頭を走るバニャイヤと2番手マルティンによる戦いは、バニャイヤが少しつずつギャップを拡大。しかし0.5秒ほどの差からそれ以上広げることができなかった。

 レースが折り返しとなった14周目、マルケスはビニャーレスがターン8でクリップにつけなかったタイミングを見逃さずオーバーテイク。表彰台目前の4番手までポジションを上げた。

 そこからマルケスは3番手のディ・ジャンアントニオをわずか1周でロックオン。17周目にパスして、表彰台圏内に浮上した。

 トップ2台の争いは残り10周を機に再び2人が接近。マルティンが0.1秒差まで詰めてプレッシャーをかけはじめた。そしてオーバーテイクをターン3、4のシケインで狙うが、ここはクロスラインでバニャイヤが守った。

 残り7周でマルティンは再びシケインでオーバーテイクを狙うと、今度はバニャイヤが守りきれず、ついにトップが入れ替わった。そして3番手のマルケスは、トップ2名が争っている間に一気に距離を詰め、バニャイヤを完全に捉えた。

 マルティン、バニャイヤ、マルケスのトップ3は0.2秒ほどの差で鍔迫り合いを展開。マルティンはミスによって一度迫られる場面があったが、それでも先頭を譲らず、マルケスも攻めきれず3番手のまま、レースはラストラップに入った。

 マルティンは巧みに後ろのバニャイヤに対してディフェンスして、トップを堅守。2位争いが激しくなったこともあり、余裕を持ってトップチェッカーを受けてシーズン2勝目を挙げた。なおフランスGPでマルティンはポールポジション、スプリント勝利、決勝勝利の完璧なレースウィークとなった。

 2位争いはバニャイヤが抑えきるかと思われたが、ラストラップのターン9でマルケスがインを差してオーバーテイク。バニャイヤによる反撃を許さず、マルケスが2位を獲得。バニャイヤが3位となった。

 母国戦のファビオ・クアルタラロ(ヤマハ)はレース中盤まで6番手を走っていたが、残り11周で転倒しリタイアで終えた。

 中上貴晶(LCRホンダ)は、最終的に14位でフィニッシュ。ライバルが多数転倒したことにも助けられ、ポイントを獲得した。