F1エミリア・ロマーニャGPの予選は、RBの角田裕毅がQ2で3番手タイムをマークするなど見事なパフォーマンスを見せ、7番手を獲得した。

 レッドブルは、マックス・フェルスタッペンがポールポジションを獲得した一方で、セルジオ・ペレスがQ2敗退の11番手となった。

 レッドブルは、ペレスが今季序盤から安定してフェルスタッペンに次ぐ2位を獲得していたことから、2025年以降もチームに残りフェルスタッペンのチームメイトを務めることが既定路線だと考えられてきたが、今回のような結果はそれを考え直させる一因足り得る結果だったと言えるのではないだろうか。

 今週末は金曜日から、レッドブルはマシンバランスに苦戦。縁石に対応するため車高を調整し、土曜日の走行に臨んだもののFP3終盤でペレスがクラッシュしたため、フェルスタッペンはソフトタイヤでの予選シミュレーションができなかった。

 フェルスタッペンはそうした状況を跳ね返しポールを手にしたが、ペレスはトサヘアピンでミスを犯し、Q3進出を逃してしまった。

 対して角田は週末を通して好調をキープ。チームの本拠地ファエンツァから近いイモラで、パフォーマンスを遺憾なく発揮した。

 FP2で角田は3番手タイムを残すと、FP3ではフェルスタッペンと同様にソフトタイヤでアタックできず。それでも予選Q1で4番手、Q2で3番手と見事にQ3進出を果たした。

 Q3の最終アタックで角田は「もっといいタイムを出せたはずだ」と反省の弁を述べたものの、最終的に7番手。メルセデスのルイス・ハミルトンを上回ってみせた。

「正直に言って、マシンにこれほどのパフォーマンスがあるとは期待していませんでした。もしかしたらホームレースのパワーを受けているのかもしれません」

 一方でペレスは、次のように予選を振り返った。

「残念ながら、Q1での最初のラップは理想的なものではなかった」

「(Q2進出に向けて)安全な位置ではないと思ったので、もう1セット新品タイヤを履いた。Q2でニュータイヤを履いた時は、リヤのグリップがかなり上がって、ターン7(トサ)に進入した時にマージンがかなり少なくて、0.25秒失ってしまった」

 今回はダニエル・リカルド(RB)も予選Q3進出を果たして9番手となったが、フェルスタッペンを除いたレッドブル系ドライバーで最も大きな印象を残したのが角田だったことは間違いない。

 レッドブルはフェルスタッペンの去就が不透明になりつつあると噂されているとはいえ、現実的には空きシートはペレスの座る1席であり、2025年以降そこに誰が座るのかはまだ確定していない。

 これまでペレスの残留が安パイだとされてきたが、エミリア・ロマーニャGPの予選結果は、レッドブルがいかに難しい決断を迫られているかを示している。

 レッドブルはかなり前に、比較的好調だったシーズン序盤の勢いをペレスが維持できるかを見極めようと決めた。フェルスタッペンがマシントラブルに見舞われたオーストラリアGPで、彼の予選での不振がなければ勝利を他チームに奪われていなかったかもしれないという思いがチームにはあるだろう。

 エミリア・ロマーニャGPの土曜日のような瞬間が繰り返されれば、ペレスのレッドブル残留はかなり難しくなっていくだろう。同時に、角田が輝きを放ったとはいえ、2025年のレッドブル昇格を果たすにはまだ十分ではないかもしれない。

 レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表は、2025年のリカルド昇格に前向きだったが、今季ここまでのパフォーマンス不足が複雑な状況を生んでいる。

 レッドブルのモータースポーツアドバイザーであるヘルムート・マルコは、最近の角田の落ち着いた態度に感銘を受けつつも、彼の最終的なポテンシャルについてはまだ納得していない。

 そして現フェラーリのカルロス・サインツJr.もレッドブルのドライバー候補のひとりだろう。イモラではチームメイトのシャルル・ルクレールに先を越されてしまったが、今季は既に1勝をマークしており、レッドブルがペレスを解雇することになれば、角田やリカルドよりも一歩上の選択肢になると考えられている。

 しかし今季最高のマシンに乗っているはずのペレスが苦戦し、残酷でトリッキーなコースで角田がこれまで見せている走りは、少なくともレッドブルから注目されるべきモノなのは間違いない。