5月19日、オートポリスでスーパーフォーミュラ第2戦の決勝レースが行なわれた。41周のレースを制したのは牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)だった。

 3月上旬に鈴鹿サーキットで開幕した2024年のスーパーフォーミュラは、2ヵ月のインターバルを挟んで九州のオートポリスに舞台を移した。テクニカルなレイアウトのオートポリスはオーバーテイクポイントが多い訳ではないが、タイヤマネジメントが重要となるため、予選やオープニングラップの順位がレースの最終結果に直結するとも限らないコースだ。

 なお第2戦に向けてはドライバーラインアップに変更があった。ITOCHU ENEX TEAM IMPULの19号車のドライバーだったテオ・プルシェールがインディカー・シリーズ参戦に伴いチームを離脱。今回チームはアメリカのIMSAで活躍するベン・バーニコートを代役に据えた。

 今週末はオートポリスの所在する大分県・日田市が気温30℃超えを記録するほどの暑さ。標高の高いオートポリス自体はそこまでの酷暑にはならなかったものの、路面温度が予選時に44℃、決勝時に38℃を記録するなど、厳しい寒さとなった開幕戦とは対照的なコンディションであった。

 予選でポールポジションを獲得したのは、岩佐歩夢(TEAM MUGEN)。デビュー2戦目での初ポールとなった。2番グリッドは6シーズン目での初優勝を狙った牧野で、3番グリッドは開幕戦3位で復活の兆し漂う山本尚貴(PONOS NAKAJIMA RACING)となった。

 レーススタートでの蹴り出しが良かったのは牧野で、トップで1コーナーを抜けた。岩佐は1コーナーで山本にも交わされ、3番手に落ちた。

 単独走行となった牧野は安定したペースを刻み、山本に対して10周で5秒のリードを築いた。その山本に3番手岩佐が肉薄する格好で、4番手以下には阪口晴南(VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)、野尻智紀(TEAM MUGEN)、太田格之進(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が続いた。

 トップの牧野が10周を完了したタイミングで、タイヤ交換義務の消化が可能に(=ピットウインドウオープン)。真っ先にピットに入ったのは2番手の山本と6番手の太田で、一旦集団の後方に回ってレースを組み立てることになった。その他先頭集団では阪口も12周と早いタイミングでピットに入った。

 これによって前が開けた岩佐のペースは牧野よりも良く、当初は6秒近くあった差がレース折り返しの20周目には3秒差に。牧野のミラーに映る岩佐の姿が徐々に大きくなった。しかしそれ以上差は縮まることなく、むしろ牧野がペースで上回るようになった。

 先頭を争う牧野と岩佐は24周に同じタイミングでピットへ。牧野は山本の目の前でピットアウトし、コールドタイヤながらポジションを守って事実上のトップを死守した。岩佐は山本、太田の後ろに回る形になったが、フレッシュタイヤの利点を活かして27周目に太田を攻略した。

 岩佐が山本の攻略に手を焼く中、トップに返り咲いた牧野は後続に10秒以上の差をつけて独走状態に。山本と岩佐が2番手争い、その後ろで太田と坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)が4番手を争う構図でレースは残り10周となった。

 マイレージの若いタイヤで再三山本にプレッシャーをかけていた岩佐は、残り8周の1コーナーでついに山本をオーバーテイクして2番手に浮上。山本は続けて坪井にも交わされ、4番手に落ちた。

 牧野は独走状態をキープしてトップチェッカー。シリーズ参戦6年目にして、初の優勝を達成した。2位は岩佐、3位は坪井だった。

 チェッカー後のラップで号泣していた牧野は、ホームストレート上でゆっくりとマシンを降りると、大きな雄叫びを上げ、チームスタッフと喜びを分かち合った。牧野は今回の結果により、ポイントランキングでトップの野尻と同点となった。