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 わずか1年で再びブンデスリーガからの降格を喫することになった、FCシャルケ04。数々の苦境を乗り越えて1年前には奇跡ともいえるブンデス即返り咲きを、しかも2部優勝という形で果たすなど復活に向けた第一歩として大いに勢いに乗っていたところだったのだが、すでにその時には1年後に迎える失意への第一手を踏んでしまっていた・・・。それが今、ペーター・クネーベル取締役が省みるポイントだ。「あの時の夏の監督人事に関する決断は、間違っていたと思う。すくなくともそのことに疑問を抱くことはできる」

 ブンデス復帰に導く手腕を発揮した、当時のルーヴェン・シュレーダーSDはその際、かつてフュルト時代に共に戦った盟友フランク・クラマー監督の招聘を決断しだ。そこには様々な思惑が交錯しており、例えば昇格を暫定監督として支えたレジェンド、マイク・ビュスケンス氏とフュルト時代から繋がりを保ち、同氏を新政権にも組み込むこと、そして自身のACを特別に招聘しないことなど、財政面を配慮したところもあった。ただそれでもどうしても悔やまれるのは最終的に秋口より就任して事態が少しずつ好転していった、トーマス・ライス監督を開幕前から招聘に動いていたことだろう。結局移籍金を支払ってまで招聘した同氏が、仮に最初からチームを率いていれば、降格は免れたかもしれない。

 シャルケはクラマー監督の時代、非常に低い支配率の中で、絶え間ないシステムの変更を行なっており、それによってストラクチャーに不安定さが生じてしまっていた。その点でシャルケはライス監督の下で大幅な改善が見られており、クラブ首脳陣はその激しく積極的な、フィジカルに勇気をもって挑むプレースタイルに好感を抱いているところ。ただそれでもクラマー監督招聘だけを降格の理由にはできない。例えば戦力補強はその一例であり、とりわけゴールスコアラーの不足、中盤の非効率化に加え、慢性的に多くの負傷者を抱えているうちに、シーズンは終了を迎えてしまった。今はスタジアムは全て片付けられてペンキは塗られており、「新しいスタートだよ」とクネーベル氏は覚悟を決める。

新スポーツディレクターに、アンドレ・ヘケルマン氏昇格へ

 同じ過ちを繰り返さぬよう、昨年10月にシュレーダー氏が突如退任して空位となっていたSD職には、ヴェルト紙が報じた情報によるとアンドレ・ヘケルマン氏が、チーフスカウトから昇格することになるという。まだクラブ側はこのことを発表していない。ただキッカーでは以前より新たなスポーツディレクターの招聘には、特に移籍金を支払う用意がないことは報じており、おそらく今週中にも新スポーツディレクターは発表される見込みだ。2021年からシャルケに在籍するヘケルマン氏は、国内外に広く人脈をもつ人物として知られ、近年のシャルケの大規模な移籍活動においてすでに大きな影響を与えていたとされる。例えば今冬のイェンツ、スカルケ、タウアー、バランタ、フレイ、ウロネンの獲得などで重要な役割を果たしていたようだ。